ゲーム制作では、シナリオを作る発想力やプログラムスキル
だけでなく、BGMや顔グラフィックなどのファイルも必要に
なりますが、これらは全部自分で作ることが基本になっています。
ですが、ゲームに使う画像や音楽などのファイルを
全部自分で作るのは大変です。
そこで絵の得意な人、音楽の得意な人の力を借りることが
必要になってきます。
ゲームのための「素材」を借りることはとても大事な選択ですね。
素材とは、キャラチップや顔グラフィックなどの
画像ファイルや、BGMや効果音などの音声ファイル、
およびスクリプト系の素材であるコモンイベントなどの中で、
「作った人が他の人に利用を許可しているもの」になります。
つまり、作者がゲームに使ってもいいよ、という許可を出していない
画像や音楽、コモンイベントは素材ではありません。
ただし、「使っていいよ」と書かれているからといって
どんな風に扱ってもいいわけではなく、基本的なルールや、
また作者さんごと、あるいは素材ごとの利用規約があります。
利用のルールである利用規約の厳しさにはいくつかの段階があり、
ゲームに素材を使用してもReadmeに記載しなくてよいものから、
Readmeへの記載が必須で加工は禁止でさらに利用報告が必要なものと、
実に色々な利用規約があります。
今回はインターネットでごく一般的な、素材の利用方法をまとめます。
素材を利用する上でのトラブルを少なくすることが本トピックの目的になります。
ここに書いてあることはあくまでも原則的なことになります。
実際に素材を利用する場合は、各素材の利用規約に従ってください。
■原則的な素材の利用マナー ウェブサイトなどにある音楽や画像は、 素材として「使ってもいいよ」という作者の意思(=利用規約)があれば、 借りて使うことができます。 借りてきた素材の扱い方は、基本的には 「加工しない(加工の禁止)」 「人にあげない(二次配布の禁止)」という扱いをした方がよいでしょう。 また、「配布するときには説明書に、素材を借りた素材屋さんを明記する」 ことにした方がトラブルは少ないです。 |
■加工について ・「加工」というのは、専用のソフト(画像や音楽の編集ソフト)を利用して そのファイルの一部を変更することをいいます。 ・画像ファイルでは、色の変更やパーツを動かすこと、 音声ファイルでは、転調や音色の変更なども加工とみなされます。 ・ウディタ内で、例えばMP3ファイルの周波数を変えて再生したり、 画像ファイルの分割表示をしたりするのは、専用のソフトを利用して 素材自体を編集しているわけではないので、 加工として考えないとする素材制作者が多いようです。 (厳しい素材制作者の方はこの辺りも気にしますので、 大丈夫かな?と不安に思ったら利用規約を再確認しましょう) ・基本的には加工はしないスタンスで進めていますが、 マップチップなどはウディタ用の素材がまだまだ少ないのが現状です。 そこで、ツクール規格で作られた素材をウディタ規格に変換する 便利なソフト「tkool2WOLF」を使用することになりますが、この場合は 前に述べた「編集ソフトを利用してそのファイルの一部を変更する」 つまり、しっかり「加工」になってしまいます。 ですので、まずは素材の利用規約で「加工してもよいかどうか」と、 「ウディタで使用してもよいかどうか」を確認してください。 加工・利用しても良いようでしたら、tkool2WOLFを用いた加工の仕方は 「ツクール用サイズの素材をウディタに使いたい」 に記載していますのでご参照ください。 |
■二次配布の禁止について ・「二次配布」とは、素材自体を人にあげる(譲渡する)ことをいいます。 その際、有料(販売)なのか、無料なのかは関係ありません。 素材を作った人以外の人が、誰かに素材をあげることが二次配布です。 こういうことはやらないでね、ということが「二次配布の禁止」です。 ・また、完成したゲームを配布する際に、素材ファイルを暗号化せずに 公開してしまうと、素材を簡単に抜き出せてしまいます。 これについては色々な意見がありますが、中には 嫌がる素材屋さんもいるようです。 素材を暗号化してしまえば簡単に素材を取り出せなくなりますので、 ゲームを配布、公開する際はウディタの暗号化機能によって 暗号化することが望ましいです。 ・ただし、暗号化したことで死んでしまうファイルもある (フォントファイルなどは暗号化するとウディタで読み込めなくなる) ので、暗号化しても動くかの確認と注意は必要です。 |
■クレジットと利用報告について ・「配布するときには説明書に、素材を借りた素材屋さんを明記する」 というのは、いつでも読める場所にはっきりと書くことです。 例えば次の形が望ましいでしょう。 ・ゲーム本体とは別に、Readme.txtなどに、「素材」などといった項目を作り、 そこに素材作者さんのお名前、素材が配布されているホームページの名前、 ホームページURLを書きます。記載するURLはトップページにするのが一般的です。 素材の改変があれば、「一部改変して使用」などのコメントも 付記するとなお良いでしょう。 ・素材屋さんによっては、利用報告が必須のところもありますので、 素材を借りる際に、素材屋さんごとにフォルダを作って テキストファイルを入れておくなどして、ちゃんとメモしておきましょう。 素材をしっかり管理できること、素材を借りた人に失礼の無いようにすること。 どちらもゲーム制作者にとっては必要な心構えですね。 |
その他、素材の利用にあたって重要なことは まだいくつかありますので、こちらをご紹介します。 |
■RTPについて ・ツクールのRTPはツクールシリーズのソフトでのみ 使用を許可された素材ですので、 元の素材も、またその改変素材もウディタでは使うことができません。 たとえツクールシリーズを購入して持っていたとしても、 ウディタでは使用できませんので注意してください。 ・「RPGツクールVX」の素材を例に取りますと、 「VXRTP」と「VX改変」が使用できません。 「VX規格」など、その規格で作られただけのオリジナル素材は使用できます。 ・「ツクールでのみ使用許可」といったことが書かれていればダメだとわかりやすいですが、 はっきり書かれていない場合は注意が必要です。 使いたい素材が「ツクールRTPの改変でないこと」を確認した上で 借りることになります。 はっきりわからない場合は使わない方が賢明でしょう。 |
■借りたいファイルがあったけど、どこを見たら素材かどうか分かる? ・基本的に、そのファイルの配布ページ辺りの見やすいところに、 素材の利用規約があります。 ゲームで使ってもよいかなどの情報も書いてあるはずですから、 「オリジナルツールでの利用可」「ウディタ用に作成」などの キーワードを確認すると安心です。 ・素材屋さんのホームページに載っているものでも、 素材ではないものは借りることはできません(ページの背景画像など)。 |
■まとめ ・最初に書いたように、ゲームに使う画像や音楽などの素材を 全部自分で作るのは大変です。 ・一つ一つの素材は、素材を作る人が手間をかけて苦労して作ったものですから、 借りるにあたっては、失礼の無いように、嫌な思いをさせないように 心掛けることが一番大切です。 ・素材を借りることに不慣れなうちは、 「加工しない(加工の禁止)」 「人にあげない(二次配布の禁止)」 「配布するときには説明書に、素材を借りた素材屋さんを明記する」 というスタンスを守って、トラブルが無いようにゲームを作っていくことをおすすめします。 また、使っていいかわからないものは使わない、という思い切りも必要です。 ・ゲーム作りに慣れてくると、素材屋さんに素材作りをお願いしたり、 リクエストしたりすることもあるかもしれません。 その時も、素材を作るのは大変な作業であることを忘れないでくださいね。 |
<執筆者:ウディタ公式ガイド執筆コミュ。>