短編:待ちぼうけを喰らうモノたち |
意識の海に漂う貴方… 私の声が聞こえますか? 待ちぼうけを喰らうモノたち File.1「クロウ&フェザー」 どの世界にも属さない世界にポツンと建つ一軒の家 そこの居間と思われる場所で三匹のトーテムの主であるリクレールが意識の海へ干渉する為に 「無段立ち煎り禁止」と書かれた部屋…通称召還部屋へ入って行くのを見送った。 「む…また主が意識の海から魂を呼び出すらしいな」 「ホントですね、今回は女の子だといいですね」 「……残念だが今回も男のようだな…おい、スケイル、主が呼んでいるぞ」 「みたいですね、…今回もゴンベエさんのような素敵な方だと良いのだけど…」 そう言いながらもかれこれ6回目になる出番にスキップ(宙に浮いているのだが)でもしそうな ほど上機嫌にスケイルが出発の用意を始める。 「大丈夫でしょう、主も最近彼がお気に入りの様デスシ」 「だな…、しかし、ゴンベエも最初に一度我を呼んだきりずっとスケイルだな…」 「それを言ったらワタシ、一度も呼ばれた事がありませんよ!!」 そう言いながらも既に何かを悟っているのか、フェザーは既に眠る体制に移行している。 「よし、準備完了〜それじゃあ、いってきますね〜」 「「…いってらっしゃ〜い」」 待ちぼうけが確定した二匹のトーテムはかれこれ6回目になる台詞を彼女に投げかけるのであった… 1日目 一度彼等の冒険が始まると残された2匹に出来る事は何も無くなる、 呼び出され、シルフェイドの世界に降り立ったスケイルは勿論、 主であるリクレールも彼等を見守る為に部屋に閉じこもる事になる そもそも厳格な性格のクロウと軽い性格のフェザーでは双方の相性はあまり良い物ではなく 第一リクレールを含めて彼等全員別に飲み食いしなくても死ぬ事は無いので、 好き好んで相性が悪い物と一緒に居る必要は無いのだ 2匹のトーテムはそれぞれの部屋へと戻って行った、 そして3、4日かけて、彼等は主がやり残した(というよりリクレールはじめからやるつもりの無い)仕事を各自で片付けるのだった 5日目 5日もすると流石に仕事もなくなり、彼等も暇になってくるので再び居間に集まってくる 「ねえ、クロウ」 暫しの沈黙の後、再び部屋に戻ろうかと考えていたクロウをフェザーが呼び止める 「何だフェザー、何か言いたい事でもあるのか?」 「なぜ、ゴンベエさんはワタクシ達を呼ばずスケイルばかり呼ぶのだと思います?」 何故そんな判りきった事を今更聞くのか、 クロウは訝しがりながらも、暫し沈黙し、答えた。 「それは…、まあ、ゴンベエは男だし、スケイルはアレでも女性だからな、 ああ、あとはあのこの間スケイルが言っていたチート紛いのフォースだろう、我等の場合フォースは彼女ほど得意でも無いからな」 「そう、そこです、何故スケイルだけ女なのでしょう?」 「…いや、何故と言われても」 そんなこと、クロウ自身知った事ではない 「主も女だから、男2人(匹?)、女2人でバランスは取れていると思うぞ」 「いいえ!、居間の状況はどう考えてもバランスが取れているとは思えないですよ!!」 フェザーの力説にクロウは少々引き気味になり…事実クロウは居間を出て廊下へ移動している。 「第一ワタクシ達は精神のカタマリで性別なんてあってない様な物じゃないですか! それなのにスケイルだけ現実に既に6回も呼ばれているジャアリマセンカ!!」 「いや、でもコレは持って生まれた(?)ものだし、如何しようも無かろう、我は部屋に戻るぞ」 ため息を吐きながらクロウはそう言って話を終らせようとする。 「いやいや、待ってくださいよクロウ」 後ろを向いて部屋に戻ろうとするクロウをフェザーはその背中に乗り、静止させる。 「では如何しろと言うのだ、何だ?我にメスになれとでも言うのか?」 「そうです、主に言って女にして貰いましょう、そして創造紳にお願い… 「ストーーーーーーーーーーーーーーーップ!!!!!!!」 カブリ ギャー… 胴体を真横から噛み付かれフェザーは堪らず悶絶する。 「危なかった…貴様は一体ドコへ行こうというのだ…そんな都合の良い事、出来るわけが無かろうが、第一、創造し…っと危ない 危うくキサマに釣られる所だった」 「し…、しかしデスネ、貴方は現実に汁帳で… カブリ ギャー… 「何の事を言っているか判らんがその辺にしておけ、一応キサマを倒して主を悲しませたくは…悲しむか??」 「そ…そんな…コト……言わないでクダサイ…よ、気にしてルン…ですから……… ガク」 そう言ってフェザーは沈黙した。 7日目 「遅いな…」 「遅いですねぇ…」 普段はそろそろスケイルが戻ってくる頃なのだが、今回は7日目になってもスケイル達は帰ってこなかった。 「もうゴンベエなら冒険なれしてるだろうし、ここまで掛かるとは思わないが…」 「今回は珍しく別の人だったのかも知れませんねぇ…」 確かに、他の人間がスケイルで冒険をすると始めは勝手が判らず大変であろう… このまま2人(匹?)でいて先日の様なおかしな話をされては堪らない、 クロウは早々に部屋に引き返そうとした時であった。 「ふう…今回も何とかなりましたね…ってあら、クロウ、フェザーそんな所で何をしているのです?」 リクレールが召還部屋から出てきた、 さすがの二人(匹?)も主の前の為、姿勢を正す。 しかし、リクレールは部屋から出ると部屋の扉を閉めてしまった。 「ぬ、やっとおわったか…ん?、スケイルは如何した?主よ」 スケイルが出てくる前に閉じられた扉を見ながらクロウは戻ってきていないスケイルについて主に問いかける。 「ああ…彼女ならあの世界の女神になりましたよ、ゴンベエさんのおかげですね、今後は彼女が何かあったときは 対処してくれるでしょう…」 「「!?」」 驚愕の事実、なんとトーテムは神になれるという 「もうあの世界は大丈夫でしょう…、あら?今度は別の世界から…まあ、今度は随分と近代的な町並みね…」 愕然としている二人をよそに、新たな危機を感じ取ったリクレールは別の世界を思いながら自分の部屋に行ってしまった・・・ 「ねえ、クロウ」 「…なんだ」 「コレってチャンスかしら」 「だな…次は必ず我等のどちらかが新たな主の相棒に選ばれる事になるだろう…」 「デスよね、今度こそ、ワタクシに出番が…」 普段から軽いフェザーだけでなく、クロウでさえ、新しい世界、新しい相棒に思案をめぐらすのであった・・・・・ 後日談 ――――――――――――結局、新しいリクレールの代理人の相棒は新入りのリスになりましたw 「「Nooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」 …File End |
只野雑魚(旧 UNKNOWN)
2011/09/17(土) 22:47:14 公開 ■この作品の著作権は只野雑魚(旧 UNKNOWN)さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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