幻想譚の妄想話
セタが可愛くて書きました。
基本主人公の名前はエール固定です。
というか主人公普通に喋ります。
性格、口調が完全に崩壊してます、原作通りじゃないと嫌!という方はすぐにこのページを閉じることをお勧めします。
台詞は原作から取ってきている部分がいくつもあります、世界設定などは自分が勝手に作ってしまっているので注意です。
文が所々おかしいと思われますので、おかしい部分があったら教えていただけると助かります

こちらはセタ視点となります。
セタ視点は少し分かりづらいかもしれません、主人公視点で理解できるように作りましたが、あえてセタ視点から読むのをお勧めします。
主人公視点は下の方にあります。

 セタと共に神撃破、その後の勝手な妄想話
 

 シルフェイドという空に浮かぶ大陸に人間と竜人がいたことを知っているだろうか?その竜人が突然消えてしまったんだ、その原因は私なんだ・・・その原因のことを話そう・・・。

 私の名はセタと言う。
 ある大陸、シルフェイドという大陸には二つの種族が存在していた。
 ひとつは人間、もうひとつは私の種族である、竜人、2つの種族は互いに争っていた。
 私は人間と竜人が争うことに疑問を感じて過ごしていた。
 そんな時、私は人間のエールという者に出合った。
 エールは殺すことを嫌い(人間、竜人に対して)必要最低限な者しか殺さなかった。
 その上、私と2度も戦ったのに、止めをささなかった、そんなエールを、私は信用し、一緒に神と戦うことを決意した。
 私とエールは神と戦い、戦いの中、私は神に思ったことを伝えた、神は私の言葉に、新たな神としての力を私に与えた。
 そうして、私とエールは神を倒すことができた。
 そして私は、新たな神として人間と竜人が共存できる世界へと変えていくことにした。

 さて、前置きは終わったところで本題に入れさせてもらうぞ・・・。
 神を倒し、私は新たな神となって少し時間が経った時のことから話そう


 「・・・セタ・・・・・・ここで・・・お別れ・・・なんだ・・・」
 神を相手に共に戦った、最愛の友、エールが悲しい顔でそう言った。
「お別れ・・・?お前はまた使命を果たしにどこかへ行ってしまうのか・・・?だが、この島にいればいつかまた出会える機会はあるだろう・・・?」
 「・・・・・・・・・」
 「まさか・・・二度と会えないのか・・・?」
 「二度となのかはどうかは分からない、だけど・・・会える可能性は極端に低いと思う・・・」
 「そうか・・・」
 「・・・・・・・・・」
 エールは悲しい顔で俯いた、別れるのがつらいのだろう。
 「・・・・・・エール、私はおまえと出会えて本当によかったと思っている。」
 「どうして?」
 「私から見た人間の代表として多くのことを教えてくれた・・・」
 「僕は・・・ただ自分が思った通りに行動してただけ・・・」
 「でも、今の人間と竜人との共存があるのは、エールのおかげだ」
 「そう・・・でも、それはセタが人間と竜人が争うことに疑問を持ってたおかげでもあるんだよ?」
 「そうかもしれないな・・・私がエール、おまえと出合ったのは奇跡なのかも知れない・・・だから、本当にありがとう、私が最後に言いたいのは、それだけだ」
 「・・・さようなら、セタ、君のことは忘れない・・・一緒にいた時間、とても楽しかったよ」
そう言ってエールは私の手を握り、そして、離した、私の手には月の聖印がある、そして、エールの手には太陽の聖印。
 「いつかまた、出会える日があったなら・・・お互いに聖印を重ね合うことにしようか・・・」
 「ああ・・・約束だ・・・」
 「・・・それじゃあ・・・本当にさようなら、セタ・・・」
 「・・・さらばだ、エール・・・」

 ・・・エール、おまえにはいくら感謝しても感謝しきれない。
 本当に、今までありがとう・・・・。
 ・・・私は、おまえの幸せを願っている。
 さようなら、エール・・・

こうして、私、セタは最愛なる友とわかれを告げ、この世界の新たな神として人間、竜人の方針を変えることに専念していた、だが、中々思い通りにうまく行かず、躓くことが多い、数年後、ある事で私は、私が望む世界の方針を大きく変えた。
詳しいことは忘れた、だが、それのせいで大きく人間を怨み、憎んだ、そして私は・・・



                          人間を消すことにした



人間を消すことにして然程時間は経ってはいないが、拠点は出来上がっている、そこで、私達竜人を殺しにくる人間を返り討ちにする。
そうしてきた、だが・・・ある日のこと、ある出来事で私は、私の中の世界の方針を変えなければ良かったと、深く怨んだ、我慢すればよかった、そう深く後悔した。
その出来事は・・・。



 ある日、私が「人間とは共存できないことが分かった、前と同じように争うことにする、そのために皆集まってほしい。」そう竜人達へ伝えた。
 竜人達は私が言ったことに賛成し、集まってくれた、そして、私達は拠点を作った。
 争いに参加したくない竜人は、いくらかいた、その中にはテサも、その竜人達には、今の人間には行けないところ、神の地がある大陸に住処を作らせ、そこで過ごすように言った、争いに参加したくない竜人達は素直に従ってくれた、そして、私は神の地がある大陸への橋を消した、その橋をもう一度作るには、私か、私を殺した者のみだ。
人間達へ、争うことを伝えた、人間達も、私達と同じような考えに至り、争うことを決めたようだ。
 私は、私達竜人の拠点の最上階で人間を消す手立てを考えていた、邪魔するものは、下の階にいる仲間達が殺してくれる、そう、人間は一旦捨てた、武装物、フォースを取り戻すのに必死である、そんな中であるため、この拠点に来たものは、仲間によってすぐに殺されてしまう。
 仮に、下の階全てを突破されて来たとしても、私がいる部屋の扉を開くには聖印が必要である、だが、この世界に残されている聖印はひとつのみ、そして、そのひとつは私がある所に隠した、私がずっと所持しててもつまらないからだ、その場所は、迷わずの森を抜けた森に争うことをやめ、隠れていた竜人の住処だったところだ。
 ただ、その迷わずの森を抜けるための真実の服は、別の場所に隠したため、聖印を手に入れるまでは相当な時間がかかると思う、その間に私の力は増し、私を超えるものはいないだろう、そう考えていた、だけど・・・その考えを捨てる日が来た、その日は・・・。

 いつものように、人間を消す手立てを考えていたこと、見張りの一人が私の部屋の前に来て、こう言った
「セタ様!一階が人間一人に突破されました!」
 その時まで、負傷者が出ることはあったが、一階を突破されたことは無かった、そのため、この見張りはそれだけで慌てているのだろう、と、私は思った。
「何だ、その程度で慌てるとは何事だ、一階を突破されたとしても、まだ他の階が残っているだろう」
「違うんですよ!一階を突破した人間は、誰一人として殺さず、一階を抜けたんです!」
「・・・誰も殺さずに・・・か、そう考えると、相当強い者になるな、見張りに全力を出すように伝えてくれ」
 強い上、竜人に然程怨みが無いのか、気まぐれなのか分からない人間。
 そう扉の向こうの見張りに伝えた瞬間、別の見張りが来た、そのものはこう言った。
「二階も誰も殺されず突破されました!」
 と、・・・二階もか・・・さすがに二階も不殺で突破されると、他の階も突破できるであろう、だが諦めるわけにはいかない。
「仕方ない・・・残った階全ての兵士に全力以上の力を出す感覚で戦うように言ってくれ!」
「分かりました!」
 そういって見張りは下の階へと走って行った、だが、人間がここまで来るのにも時間の問題だろう、人間が来る前までに戦う術を用意し
なければ・・・。
 そう思い、戦いの術の用意を終わらせた時、私の前の部屋の階段を上って来る音が聞こえた。
 聞きなれない靴の音・・・おそらく、先ほど見張りが伝えに来た人間であろう、そう認識し、構えて待つ。
 足音は部屋の前で一旦止まり、そして、扉を開けた。
 もう、聖印を手に入れたとは・・・人間の中には素早いものもいるのだな。
 そう言おうとした、だけど、言えなかった、扉を開けた人間を見たからだ。

 その人間は、紺色の服を着ており、その人間の手には、月の聖印と・・・太陽の聖印、そして、忘れられない人の顔。
 そう、その人間はエールだった、その時、全て納得した、この拠点を誰一人として殺さず私の下へやってこれるほど強く、殺す意思が無

い人間、私もよく知ってるじゃないか、でも信じられなかった、エールがここまで来るまでは。
「・・・帰って・・・来たのだな・・・」
「・・・・・・半分は君に会うために、もう半分は、君との約束を果たすために」
 そう言って、エールは私に近づき、月の聖印を渡してきた、そして、私達は、手の中で聖印を重ね合った。
 暫くの沈黙の後、エールが口を開いた。
「これが・・・いや、この争いの後の結果が、君の望む世界・・・なんだね」
 そう言って来た、その言葉に、私は
「・・・今からでも、前の私が望むような、人間と竜人が共存する世界に変えてゆくことができ・・・」
 最後まで言えなかった、それはエールが微笑みながら言ったから
「別に、怒ってる訳でも無いし、君の考えを正そうと思ってる訳でもない、ただ、君が望む世界に向かっているのなら、僕はそれで構わない、それに、最初に言ったよね・・・君に会いに来たのと、君との約束を果たしに来ただけ・・・って」
 私には、その時はその言葉が理解できなかった、だがエールが次に放った言葉で理解した、その言葉は

「君が望む世界は竜人達が生きる世界、その中には僕が生きる権利はない、もう、僕はここに来ることも、この世界に来ることも無い、だから、君との約束を果たして、僕はこの世界から去る、そのために僕は、またこの世界に来た」

 言葉が出せ無かった、エールがここに来るまで、人間全てを殺す、そう考えていた、エールもそれを察していたのだろう、だけど、私は
「そんなことは無い!エールは、エールだけは生きててほしい!一緒にいてほしい・・・だから・・・だから・・・!」
 必死で私は自分の気持ちを叫ぶ、だけどエールは微笑みながら、私の手に、太陽の聖印を残しながら、握った手を離し、
「・・・その願いを言うのには少し、遅かったみたいだね・・・・それじゃあ、本当に・・・さようなら」
 エールは私に背中を向け走り出した。
「待ってくれ!行かないでくれ!私の傍にいてくれ!」
 ただ叫んだ、エールはその言葉で振り返り、
「セタ・・・好きだよ、だけど、もうすぐ僕がこの世界にいる権利が無くなる」
 そう言い、また走り出した、それを見た私は、武具をその場に捨て、追いかけた。
 必死で走った、躓こうが、人間を見つけようが、息が続かなくなろうが、肺が押しつぶされそうな感覚に襲われようが、足が限界になろうが、必死で走った、エールの姿はすぐに見えなくなったが、どこへ向かっているのかすでに分かっていた、エールがこの世界に初めて立った場所、それは一緒にいたときに教えてくれた。
 雲行きが悪くなり、日も下がろうとしていた時、私は、エールの姿を見つけた。
 エールはもうすでに、初めて立ったところに立っていた、私はその姿を見て、立ち止まり、乱れすぎた呼吸を整えた。
 走り続けた影響で、どんなに頑張ろうが、歩くことしかができない状態になっていた、そして、おぼつかない歩き方でエールに近づいていった。
 そんな中エールは、腰に付けた剣をゆっくりと抜いた。
 何をするのだろう、そう考えながら近づく私には、剣が背に隠れて見えなかった、その時、エールは


 
                自 分 の 剣 で 自 ら の 胸 を 貫 い た 。



 私には、その時は分からなかった、いや、分かっていた、認めたく無かっただけ、エールはゆっくりとうつ伏せに倒れた。
 ゆっくりと、確実に、倒れたエールに近づき、手を触ってみた、その手には、生きている温もりは無かった。
 エールと地面の間から流れ出てくる血、エールの胸を貫く刃、手の冷たさ。
 私はその時、エールの死を認めた。
 ポツリと、私の手に落ちてくる雨粒、雨が降り始めた、その雨はとても冷たかった。
 雨の粒に混じって、涙が頬をつたう。
「嘘だ・・・・嘘だ・・・・・・嘘・・・だ・・・・・・う・・・そ・・・・・うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 ただただ、泣いた、声を上げながら泣いた。
 信じたく無かった、認めたく無かった、エールがこんな形で死に、この世界を去ることを。
 涙も止まり、泣く事に疲れた時、
「・・・一緒にいたかった・・・一緒に笑って過ごしたかった・・・傍にいてほしかったのに・・・それなのに・・・・!」
 自分を憎んだ、怨んだ、そして後悔した、自分が竜人だけが生きる世界を望んだことを、そして
「一緒に・・・いたい・・・生きてても、死んでも・・・」
 そう呟き、私はエールの胸を貫いている剣を抜き、エールが自分で貫いた位置に刃を突きたて、そのまま

                      エールと同じように自分の胸を貫いた。

 世界など、どうでもいい、私は、ただ、エールと一緒にいたい、エールがこの世界に来れなくなったとしたとするのならば、私はこの世界から去る、そう思い、自分の胸を貫いた。
 薄れて逝く意識の中、私はエールの手と、自分の手を重ね、この世界を去った。

 神は死に、竜人はそれにともない消え、人間だけが残った世界になった。
 その後のことは分からない、私はもうシルフェイドの世界を見てはいなかったから。

 ・・・以上で話は終わり、私は死後もエールを探し続けたが見つからなかった、今の私にできることは、こうして、この出来事を話すこ

とだけだから・・・。







こちらは主人公視点となります。
セタ視点を見ていないのならばセタ視点から読むのをお勧めします。

 セタと共に神撃破、その後の勝手な妄想話

 遠い遠い昔のことです、あるところにシルフェイドという空に浮かぶ大陸がありました、その大陸に災いが起こるとき、どこからやってきたのか分からない旅人が災いを止めることに成功しました、その旅人がシルフェイドの大陸を救ったお話です。

 シルフェイドという大陸は人間と竜人という2つの種族が存在しています。
 その2つの種族の間には何百年もの争いが絶えることなく続いていました。
 そんなシルフェイドに、ある災いが起ころうとしていました。
 その災いは大陸にいる全ての人間が消えるという災いでした。
 その災いを防ぐために別の世界からやってきた旅人が存在しました。
 その旅人の名はエールといいました。
 エールは災いを防ぐための旅の途中、ある砦に辿り着きました。
 その砦には人間と敵対する竜人達がいました、だけど、エールは極力殺すことを避け、見張りに参加して、進行の邪魔をする者だけを殺しました。
 砦を進む途中、見張りと戦った後、別の竜人に気づかれました、その竜人はセタといいました。
 竜人の中の副隊長と呼ばれているように、他の竜人よりはとても強かったのですが、エールにはトーテムという力があり、トーテムは宿主の身体能力や知能を大幅に上げる力がありました。
 もちろん、そんなトーテムを持っているエールは、セタに負けるわけがありませんでした。
 だけど、エールはセタを殺しませんでした、理由はただ、殺したくなかっただけ、だそうです。
 セタは戦いの後、砦の竜人全員を連れて逃げて行きました。
 その後の旅の途中、エールはもう一度セタと戦うことになりました。
 やはり、セタはエールに勝てるはずがなく、戦いに負けたセタは遠くへ逃げる体力すら残っていませんでした。
 だけど、やはりエールはセタを殺しませんでした、そんなエールを、セタは信用しました。
 エールはセタと共に神の下へと辿り着きました。
 災いの原因は神であることが分かりました、神の話では、竜人は自分が生み出したものであり、自分が死ぬと竜人も死ぬということでした。
 戦いの中、セタは人間と竜人が争わずに済む方法は無いのか、と神に言いました。
 神はセタの言葉に答え、セタに神である力を分け与えました。
 セタは神である力を分け与えられたことによって新たな神となりました。
 そうして神をエールとセタは倒し、シルフェイドに平和が訪れました。

 本題はここからです、平和になったシルフェイドはもう一度2つの種族の間に争いが起こりました。
 しかし、優勢だったはずの竜人が突然シルフェイドから消え去りました。
 竜人が消えることになった原因はセタとエールの2人でした。
 その出来事をエールから聞かせてもらった通りにお話します。



 「・・・セタ・・・・・・ここで・・・お別れ・・・なんだ・・・」
 とても言いづらかった、別れるのは嫌だったから
「お別れ・・・?お前はまた使命を果たしにどこかへ行ってしまうのか・・・?だが、この島にいればいつかまた出会える機会はあるだろう・・・?」
 「・・・・・・・・・」
 「まさか・・・二度と会えないのか・・・?」
 「二度となのかはどうかは分からない、だけど・・・会える可能性は極端に低いと思う・・・」
 二度と戻って来れないと覚悟してたのに嘘をついてしまった、本当はそんな可能性あるはずないのに
 「そうか・・・」
 「・・・・・・・・・」
 僕は俯いてしまった、セタに嘘を言ってしまったことと、別れる悲しさで・・・。
 「・・・・・・エール、私はおまえと出会えて本当によかったと思っている」
 「どうして?」
 「私から見た人間の代表として多くのことを教えてくれた・・・」
 「僕は・・・ただ自分が思った通りに行動してただけ・・・」
 「でも、今の人間と竜人との共存があるのは、エールのおかげだ」
 「そう・・・でも、それはセタが人間と竜人が争うことに疑問を持ってたおかげでもあるんだよ?」
 セタが僕と、神と戦うことを決意したからこそ、この世界があると言える・・・よね?
 「そうかもしれないな・・・だが、私がエール、おまえと出合ったのは奇跡なのかも知れない・・・だから、本当にありがとう、私が最後に言いたいのは、それだけだ」
 「・・・さようなら、セタ、君のことは忘れない・・・一緒にいた時間、とても楽しかったよ」
 そう言って僕はセタの手を握り、離した、セタの手に月の聖印、僕の手には太陽の聖印。
 「いつかまた、出会える日があったなら・・・お互いに聖印を重ね合うことにしようか・・・」
 「ああ・・・約束だ・・・」
 「・・・それじゃあ・・・本当にさようなら、セタ・・・」
 「・・・さらばだ、エール・・・」

 ・・・僕はセタと出会えて本当に良かった。
 セタのおかげでこのシルフェイドの大陸の人間と竜人が消えることなく、共存することを選んだのだから。
 もうここに来る必要はないね。
 でも、やっぱり、少し残念かな、こんな素晴らしい世界に巡り会えたのに。
 それに・・・できることならセタとの約束、いつか果たしたいから。
 その時が来ると信じて・・・さようなら・・・またね、セタ。




 意識の海を僕は彷徨い続けた。
 彷徨ってどのくらい経ったんだろう。
 もう見慣れた景色がずっと続いてる。
 ・・・話す相手もいない、見るものない、音もない、疲れた、休もう。
 ・・・もう一度、一度でいいから、シルフェイドに行きたい、それが叶わないのは分かってるけど・・・。
 そう願った、だけど、叶うはずは無かった。
 ・・・うまくいってるかなぁ・・・セタ・・・。
 たとえうまくいってないとしても、世界の方針を変えてたとしても・・・。
 僕は無理にセタの考える世界の方針を変えるつもりは無いけれど・・・。
 僕は休みながらそう考えていた。
 ・・・そろそろ動こう、何もすることは無いけれど、今僕にできることはそれだけだから・・・。
 そう呟き、僕は意識の海の中を彷徨い始めた。
 そうして、どのくらい経ったのだろう、突然声がした。
 「エールさん・・・・・エールさん・・・・・」
 リクレールの懐かしい声・・・
 リクレールの声はすぐ近くから聞こえた、その声に僕は彷徨うのを止めた
 何故、また僕を見つけ出したのだろう・・・
 「エールさん・・・・・エールさんお願いです・・・もう一度、シルフェイドの世界に来てほしいのです・・・」
 ・・・え・・・
 聞き間違いかと思った、だけど今度ははっきりと聞こえた。
 「エールさん、お願いです、もう一度、セタさんに会ってほしいのです」
 ・・・・・・・・・もう一度セタに会える・・・嬉しいことだけれど、セタに会ってほしいというのはどういうことなのだろう・・・。
 僕は心の中で言った。
 セタは、人間と竜人が共存する世界を諦めたのかな・・・でも、そうだとしても、僕は止めるつもりは無いけれど・・・セタと会いたい、会って、話たい、約束を果たしたい、それだけでいい、と。
 「・・・分かりました・・・僕をシルフェイドの世界に、もう一度・・・連れて行ってください・・・」
 弱々しい声だったけど、リクレールには聞こえたようだ
 「ありがとうございます・・・ではエールさんを引き上げますね・・・」

 そして、意識は少しの間消え、気がついたら、前に初めて降り立った位置にいた。
 「では・・・もう一度エールさん、あなたにトーテムの力を与えます」
 リクレールの声とともに、僕は自分の体の中にトーテムの力が入ってくることを感じた。
 体も、所持品も、トーテムも、前僕がこの世界を去っていく前のものだった。
 「それでは・・・会って来てください・・・ただ、今回は生命の結晶は無いので、死んだら肉体と精神が完全に分離しもう肉体を与えることができません、なのでそうなるとこの世界には戻ってこれません・・・お気をつけて・・・」
 そう言い、リクレールはどこかへ消えた。
 「死んだらもう戻れない・・・か、とりあえず、サーショの街で情報を集めよう」
 小さく呟き歩き出す。

 情報を集める中、セタはやはり共存を諦めたようだ、シルフェイドはまた争っていた。
 僕は竜人の本拠地はどこかと聞きまわっていると、旅人が教えてくれた。
 「・・・あそこにあるのですか、ありがとうございます・・・・」
 そう言って、僕は街の外へ出た、そして、ある場所を目指して歩いていた、そこはセタのいる所では無いけれど、セタがもし、月の聖印を隠したとするなら、あそこくらいにしか・・・。


 僕は迷わずの森に着いた、真実の服は前の旅の途中、拾っていたから、迷わずの森はすぐに抜けられた。
 やっぱりセタは迷わずの森の奥、争うことをやめた竜人が住処にしていたところに、月の聖印はあった。
 「・・・約束・・・だもんね・・・約束は果たさなきゃね・・・」
 そう言いながら僕は、月の聖印を取り、その場から離れ、セタがいる竜人の拠点へと向かい始めた。


 旅の途中僕は何度も竜人に襲われた、だけど、殺すつもりは無かった、セタが竜人だけが生きる世界を望むなら、僕はそれに反抗することはない、ただ、その世界に向かって進むように少し、協力するだけ。
 人間を殺すわけでは無いけれど、せめて竜人は殺さないでおこう、そう思いながら、襲ってきた竜人を気絶させて来た。
 『竜人だけが生きる世界、僕は、セタが望む世界なら何でもいい、だけど、その世界に僕が生きる権利が無いのなら、僕はそれに従うよ・・・・』
 考えているうちに、目的の場所に辿り着いた。
 「・・・着いた・・・」
 拠点を見上げてみる、5階くらいありそうな高さだった、のぼりきるのは大変だろうなぁ、でも、そのくらいで挫けるわけにはいかない、

セタに会わなきゃ・・・。
 どんな状況になろうが負ける気は無い・・・そう思いながら中へ入ると、数十人の竜人に囲まれ、一斉に襲いかかれた。
 体術も知力も長けているトーテムの力があっても、誰一人として殺さず戦っていくのには大変だったが、時間はかかるがフォースの力をうまく使い、一人ずつ動けなくさせていけば何とかなった。
 ペースは遅いが確実に、誰一人も殺さず拠点を進んでいった、そして、最上階への階段を上っていた。
 階段を上りながら考えていた、この世界を去り、セタが望む世界になって、セタが僕のことを忘れたとしても、この聖印を持ってさえいてくれれば、僕にはセタといた証になるから、僕はそれで構わない。
 そう決意した、気づけばセタがいるであろう部屋の扉の前にいた、その扉は前に見たことのある、聖印で開くことのできる扉だった。
 大きく深呼吸をし、持ち物から月の聖印と太陽の聖印を出し、それを見つめながら思った。
 『約束・・・やっと果たせそうだね・・・また、この世界に来るまで、時間はかかったけれど・・・きっと、覚えているよね・・』
 手に持った聖印を扉にかざし開ける、その扉の先には、懐かしいセタの姿が見えた。

 セタは僕を見て驚き、そして
 「・・・帰って・・・来たのだな・・・」
 そう言った、その言葉に僕は
 「・・・・・・半分は君に会うために、もう半分は、君との約束を果たすために」
 そう答え、僕はセタに近づき月の聖印を渡し、僕とセタは手の中で聖印を重ねた。
 暫くの沈黙の後、僕は言った
 「これが・・・いや、この争いの後の結果が、君の望む世界・・・なんだね」
 と、もう僕にセタを変えられることはできない
 「・・・今からでも、前の私が望むような、人間と竜人が共存する世界に変えてゆくことができ・・・」
 僕は最後まで言わせてあげなかった、僕は微笑みながら
 「別に、怒ってる訳でも無いし、君の考えを正そうと思ってる訳でもない、ただ、君が望む世界に向かっているのなら、僕はそれで構わない、それに、最初に言ったよね・・・君に会いに来たのと、君との約束を果たしに来ただけ・・・って」
 そう言った、セタは僕が言いたいことが分からないみたいで少し戸惑ってる、そして僕は

 「君が望む世界は竜人達が生きる世界、その中には僕が生きる権利はない、もう、僕はここに来ることも、この世界に来ることも無い、だから、君との約束を果たして、僕はこの世界から去る、そのために僕は、またこの世界に来た」

 そう告げた、セタその言葉を聴いたとたん悲しい顔になり
 「そんなことは無い!エールは、エールだけは生きててほしい!一緒にいてほしい・・・だから・・・だから・・・!」
 セタは必死で僕に気持ちを言っていることがよく分かった、だけど、もう遅いんだ
 僕はそう思いいつつ、微笑みながら、太陽の聖印をセタの手に残しながら、ゆっくりと手を離し
 「・・・その願いを言うのには少し、遅かったみたいだね・・・・それじゃあ、本当に・・・さようなら」
 僕だってずっと一緒にいたかった、そう思いながら僕はセタに背を向け走り出した
 「待ってくれ!行かないでくれ!私の傍にいてくれ!」
 僕に向かってセタが叫ぶのが聞こえる・・・でも、すでに僕の運命は決まっているんだよ・・・?
 「セタ・・・好きだよ、だけど、もうすぐ僕がこの世界にいる権利が無くなる」
 一旦止まって振り返り、そう言った後、僕はまた、走り出した。
 走り続ける中、僕は考えていた、僕がセタと友に世界を変えてゆくことにしようが、セタが望む世界を変えようが、セタに会わずに済ませようが、僕は今日、死ぬ、セタと別れるのはやっぱり悲しいけれど・・・セタとの約束を果たせて僕は十分だから・・・。

 僕は初めて立った場所に戻ってきた、それを待っていたかのように、リクレールがすぐに姿を現した。
 「あれで・・・良いのですね?・・・それと、あなたはいつ・・・気がついたのですか?」
 リクレールが質問してきた、1つはセタとの、もうひとつは僕が運命で死ぬことを指しているんだろうなぁ。
 「セタとは、あれでいいんです・・・それと、死ぬことを決意したことで僕の運命が決まってしまったことにすぐに気がついたんです」
 極めて珍しい運命の定まり方であると、そして、そうして決まってしまった運命は誰が何をしても変えることができないことも、僕とリクレールは分かっていた。
 「そうですか・・・分かりました・・・では、あなたの死を見て、悲しむ者を減らすために、あなたに与えた肉体を消したかったのですが・・・セタの強い意志によって、それを行うことができないのです・・・申し訳ございません・・・」
 本当に申し訳なさそうな顔でリクレールはそう言った。
 セタの意思はリクレールの力を妨げる程なのか・・・でも、別に構わない、リクレールの力でこの世界を離れるつもりは無かったから。
 「・・・別にいいです、僕は、僕自身の手で死にますから」
 リクレールはもう、何も言わずに去っていった。


 「・・・・・・雲が空を覆いつくしてる、まるで、僕の死を認めるかのように・・・ね」
 空を見上げながら呟いた、そして、腰に付けていた剣をゆっくりと鞘から抜き、胸の位置に刺すように構える。
 本当に、短い間だったけれど、セタといた時間楽しかったからね・・・叶うならずっと一緒にいたかったけれど、さすがに欲張り過ぎるよね・・・この世界は、本当に良かった・・・名残惜しいけれど、僕はこの世界から消えるね・・・。
 そう思いながら、胸に構えた剣に勢いをつけて、そのまま
 「セタとまた別の形で会えるなら、その時はずっと一緒にいられるようにするからね・・・」

                      剣は僕の胸を貫いた

 「どんな形であっても・・・」
 誰にも聞こえないような小さな声で、僕はそう言い、シルフェイドから去った。

 エールの話はここまででした、だけど、私は見ていました。
 エールの死を見たセタが、悲しみの末、エールと同じ死に方をするのを。
 神であるセタの死によって、竜人達はシルフェイドからいなくなってしまいした。
 残された人間達に平和が訪れたと思われましたが、今度は人間同士の争いが起こり始め、シルフェイドの世界に平和は訪れることはありませんでした。

 以上でこの話は終わり、エールが私に話してくれた後、エールの意思の存在も消え去りました。
 そして、今のシルフェイドに残っているものは生命を持っていた者達の屍骸だけです。


全て読んくれただけでも、読んでくれた方々本当にありがとうございます。

感想、文や言葉がおかしい部分、誤字脱字に関しては、このテキストへのレスか、感想・交流BBSの二次作品関係スレッドのところに、お願いします。
エール
2011/07/05(火)
23:10:22 公開
■この作品の著作権はエールさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのコメント
随分ベタ+駄作な話を作った気がする・・・
見事にキャラ崩壊してますが悔いはありません。
後、SmokingWOLFさん、本当にありがとうございました。
追記:真実の服に関しては、主人公が入手した物とは違う物を、セタが所持していたという設定です。

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