シルフェイド幻想譚〜メルティの転生紀〜 第2章 サーショの街 |
サーショの街は,メルティが降り立った森のすぐ近くにあった。 この街には,詰め所で兵隊たちが見回りや訓練などをしている。街並みには,食べ物屋や酒場,他には「ガラン堂」という武具屋がある。 メルティ「なんかすごいわね。兵隊さんが巡回してるなんて。」 クロウ『それもそうだ。ここから北西の森にはトカゲの兵士がいるからな。』 北西の森とは,メルティの来た森とは遠くはなれている。 メルティ「トカゲ?」 クロウ『ああ,街に危害が及んだら,当然ヤバイからな。』 メルティ「えー?マジっすか!!」 クロウ『それに,トーテムをもたない並みの人間の力でもかなわないなあ。』 クロウがそう言うと,メルティの顔色が真っ青になった。 メルティ「きゃあー!なんか怖い・・・」 メルティは,突然かん高い悲鳴を上げた。その悲鳴を聞いた人々は,くすっと笑ってしまった。 クロウ『(リアクションが高いぞ!)』 メルティが,1軒の小屋を通り過ぎようとすると,そのドアから背の低い少年がでてきた。短くて,黒い髪の毛だ。 ??「姉さん,いってきます。早く病気が治ればいいのにね。」 その少年は悲しそうな目で,小屋を出てどこかへ歩いていった。 メルティ「あら?この子,どこへ行くのかしら?」 クロウ「わからんが,多分,この家の姉弟の姉は病気らしいな・・・」 メルティ「気の毒です・・・」 メルティは,悲しい目でこう言った。 メルティ「この家の少年は偉いわね。お姉さんを看病するなんて・・・」 メルティは,またしばらく歩いて行くと,突然,一人の兵士がまっすぐ走ってきた。何かあわてているようだ。すると,その兵士はメルティの肩にぶつかってしまった。 メルティ「うわっ!いたた・・・」 クロウ『大丈夫か?メルティ。』 メルティ「はい・・・」 クロウ『この兵士,何かあわててるみたいだな。行ってみたらどうだ。』 この兵士は,詰め所の方へ走って行ったようだ。メルティも急いで彼の後を追った。 メルティは兵士の後に続くように,詰め所の中へ入って行った。 詰め所の中は,懸命に訓練している兵士でいっぱいだ(でも,中にはさぼっている人もいるが・・・)。 兵士1「おい!たった今,オレの仕事終わった。・・・というか,大ニュース,大ニュース!!!聞いてくれよ!」 クロウ『うーむ,せっかくだから,聞いてみたらどうだ。』 メルティ「はい・・・」 メルティはあまり興味を示さないようだが,ちょっとくらいならと思い・・・ 兵士は,同僚に何か話すようだ。 兵士1「前にも話したかと思うが,この前エージス隊長が,魔王を倒しに旅立ったんだよ。」 メルティは「魔王」の話にピーンときたので,さらに耳を傾けることにした。 兵士の話が長いので,簡単に説明しておこう。 兵士の話によると,1週間前にサーショの街の南側にあるバーン城の王から,エージスというサーショの兵隊長に「魔王を倒してくれ。」と頼んだのだ。残念なことに,優秀な若い兵士はトカゲの兵士の襲われてしまい,引退間近のエージスに仕事が入ってきたのだ。エージスは,この際に娘のメアリーを城に預けて,一旦サーショの街に帰り旅立ちの準備をしようとした。 ・・・と,言うわけだ。 兵士1「このこと,エージス隊長から聞いたよな!」 と言うと,同僚の兵士らはキョトンとした。 兵士2「おい,待ってくれ!隊長,戻ってないぞ。」 兵士1「え?マジ?確かサーショの街に戻ってくると,聞いたけど。あれ?」 メルティもこの話を最後まで聞いたが,帰ってこないのはおかしいと思っていた。 不思議に思いながらも,メルティは詰め所を後にして,再び街の中をぶらぶらしていた。すると,八百屋の店の壁には張り紙があった。 その貼り紙には,こう書いてあった。 ―伝説に名高い『太陽の剣』を見つけ出し,城に届けた者には20000シルバを与える。見つけた者はバーン城の北門までくるように― メルティ「太陽の剣ですか・・・」 クロウ『ああ,500年前に魔王を倒した伝説の武具の一つだな。』 メルティ「私,それ欲しい。」 メルティは興味津々という声で言った。 クロウ『なんでだ?』 メルティ「伝説,という言葉を聞くとすごいではないですか。それなら,悪い奴をコテンパンにやっつけられるから!!」 クロウ『調子いいな,お前は。』 クロウは怪訝そうな顔で言った。 すると,メルティの背後から女の年寄り声が聞こえた。 ??「お嬢さん,なにか困りごとはあるかね。」 メルティの心臓が今にも飛び出そうだ。振り返ってみると,黒いローブをきたおばあさんの姿だ。なんだか,不気味にニヤリとしている。 メルティ「え?いや,その・・・」 ??「この辺では,見かけない人だね。」 メルティ「あ,はい!ちょっとした旅人です。」 ??「そうか,それなら占ってあげようかね。」 メルティ「占う?」 オーバ「私は占い師のオーバ。お前さんが何をしているのかよくわかっているからね。」 メルティ「そう。でも,私,お金持ってません。」 それもそうだ,メルティがシルフェイドの世界に来てからは,1銭も持ってはいなかった。 しかし,オーバは気にせず, オーバ「金はいらないよ。お前さんのような旅人には特別にタダで占ってやろう。」 メルティは,心配そうだが,この際ぜいたくはいえなかった。 メルティ「そ,それでは,お言葉に甘えて・・・」 メルティはオーバという老婆に連れてこられて,占ってもらうことにした。 しかし,メルティはまだ知る由もなかった。 自分が,闘いに巻き込まれることを・・・ そして,あいつに出会うことになることを・・・ 続く |
アシャコ
2011/01/29(土) 01:22:18 公開 ■この作品の著作権はアシャコさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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