アーサとナナシっていう構想はどの程度の需要があるのかを知りたくて出来たお話




 ~the moonlight fantasia〜~





 ――7日目。

 今日も彼女が来た。相変わらず面白いヒトだ。

 もうすぐ世界一周の旅も終わる。

 気になる話題が振られたのも、とても偶然とは思えない。





 1/


「すっごい真剣なこと聞くんだけどさー」
 世界一周の旅もいよいよ大詰めを迎えた、7日目の夜。
 今日もオレのキャンプを訪れていたナナシさんが、唐突に口を開いた。
「ん、なに?」
 視線を焚き火から彼女の方に移してそれに応じる。
 火の横に寝転がっていたナナシさんは既に身体を起こしていて、オレと目が合うとニヤリと笑った。
 ……あ、この顔は要注意だぞ。
 オレは瞬間的に直感する。
 何か面白い事を考えついたとき、彼女は決まってこんな笑い方をするのだ。
 ついでに言えば『面白い事』とは必ずしもオレにとっても面白い事ではなかったりするから始末が悪い。
 というか、大概の場合は――それも極めて確定的に――被害を受ける側だ。
 7日に渡る経験は身体にしっかりと息づいていて、オレは即座に後じさった。
 まさか予備のバンダナまで火刑に処されるわけにもいかない。
 中腰の姿勢(※警戒態勢)で三歩ほど後退するオレを、ナナシさんは楽しそうに眺めている。
 そんなことしても無駄だよーと言わんばかりの笑顔だ。くっそう。
「悪いけど、バンダナ貸してって言われてもヤだかんな」
「そんなんじゃないってば。今日はもちょっと真剣な話」
「?」
 先手を打ったという思いがあっただけに、その発言は拍子抜けだった。
 1度でいいから、この人を『きょとん』って感じにさせてみたいな。
 初日から何となく考えていたことを、今日もまた思った。
「で、真剣な話ってなに?」
「いいからこっち来て座りなさいよ。だーいじょぶ、食べたりしないから」
 ナナシさんはまだ薄笑いを浮かべたまま、チョイチョイと手招きをする。
 馬鹿にされた気がしてちょっとだけむっとしたけど、オレは言われたとおり彼女の隣に大人しく腰を降ろした。
 この人が言う『真剣な話』とはどういうものだろうか。少なからず興味があったからだ。
 微妙な間を置いて、オレはナナシさんの横顔を見つめた。
「……で、なに?」
「うん。最近さ、ちょっと気になってたことなんだけど」
 コホン、と思わせぶりに咳払いをするナナシさん。

「――エージスさんって片仮名で表記するより平仮名で『えーじす』ってやった方が可愛くない?」

「お引き取り願ってもいいですか」
「わーっ、冗談だってば!」
 ナナシさんは焦ったようにブンブンと両手を振った。
 ……まったく、いったい何を言い出すかと思えば。
 ちょっとだけでも期待したオレが馬鹿だったとでも言うのか。
 溜息をつくと、ぷうっとほっぺを膨らませてナナシさんがオレを睨む。
「なによ、本番前にちょっと和ませてあげただけじゃんっ」
「ああそっか。思い切り気を抜いてくれてありがとうナナシさん」
「そ、そんな皮肉言わなくてもさ……」
 しゅーん、と今度は俯いて落ち込んでしまった。
 どうも本気で傷ついてしまったらしく、膝を抱えて体育座りの様相さえ呈し始める。
「うぅ、アーサは私の言うことなんてまともに聞いてもくれないんだ……」
 身に纏う負のオーラの奥でオレを横目に見据えながら、ぼそぼそと呟く。
 うわぁ……。
 いきなりネガティヴになってしまった。
「いいもんいいもん。アーサは私が嫌いなんだよね。それならいっそのこと――」
「降参降参! オレが悪かったから短剣を手首に押し当てないでくれっ!」
 慌てて右の手首に(本気で)あてがわれたショートブレイドを取り上げる。
 いっつも思うことだけど、行動が突発的すぎるんだよな。この人……。
 こんな調子で旅なんか続けてたら命なんて1つじゃ足りないんじゃないか?
 まぁ現にこうして生きてるから、それほど問題は無いんだろうけど。
 それでも、短剣を取り上げられてうーうー唸っている彼女を見ていると考えてしまう。

 ――そもそも、この人はどうして旅をしているんだろう。

 女の子が危険を承知で一人旅をするなんて、普通なら考えられることじゃない。
 ナナシさんに限って『普通』という枠組みが適用されるかどうかはまた別として。
 それくらい……自己の危険を顧みないくらい、大きな理由があるんだろうか。
 あるとしたら、それはどんな理由で、どんな目的が含有されているんだろう?
 思いつかない。
 だから、訊いてみた。
「なあ、ナナシさん」
「なによ」

「――君は、なんで旅をしてるんだ?」

「…………?」
 言葉の意図が掴めていないような、不思議な表情だった。
 ぽやっと小首を傾げて……やがて花が開くように、笑顔が広がる。
「……ぷっ、あはははははははっ!」
「え、ココ笑うとこ?」
 唐突な爆笑に戸惑って、つい聞き返してしまう。
 ナナシさんは『ゴメンゴメン』と謝りながら、まだ噛み殺すように笑っている。
「あんまりタイミングいいもんだからさ、アーサの質問」
「えーと、つまり訊いちゃいけなかったってこと?」
 戸惑いの余熱か、奇怪な反応に対しての判断が付けにくかった。
 世の中には高らかに笑うことで怒りを表現するヒトが希にいるからだ。
「違う違う。むしろ私が訊こうと思ってたんよ、それ」
 笑い過ぎたようで、指先で涙を拭いながらナナシさん。
「え、つまり?」
「聞こうと思ってたこと訊かれたから、なんか可笑しくなって……ぷふっ!」
 再び吹きだした彼女の勢いに釣られて、オレもぷっと吹いてしまう。
「なんだ。『真剣な話』ってそのことだったわけ?」
「うん! けどなんか、笑い話になっちゃったっぽい」
「はぁ。無駄にナナシさんらしいな、そうゆうとこ」
「そだね、私らしい……ってそれどーゆー意味さっ!?」
「あはははっ!」
 ぷんぷんと擬音が付きそうな彼女の仕草が可笑しくて、また笑ってしまう。
 ナナシさんもすぐに笑顔になった。
 こんな交流が、7日の間にオレ達が築き上げた全てだった。
 単純で馬鹿馬鹿しくて、でも、それがヘンに楽しくて。
 オレ達はしばらくの間、互いの肩をばんばん叩きながらゲラゲラ笑っていた。


 2/


 パチパチと、くべたばかりの薪が爆ぜた。
 宵はいよいよ深まり、空に望める月と星が、微妙な陰影をもって地上を淡く照らしている。
 オレとナナシさんは焚き火の両脇にそれぞれ仰向けに寝転がりながら、ぼうっとそれらを眺めていた。
 ――ただ静かで、どこまでも優しい時間。
 月には何かが宿っているのだと、昔は固く信じていた。
 それは幼いながらに感じた、小さな感動に起因するのかもしれない。
 空に浮かぶ月を見るとき、オレはどこまでも静かな心でいられた。
 粛然としていて、包まれるような、その佇まいが強くオレを惹き付けたから。
 でも同時に、それはとても寒々しい気持ちでもあったんだ。
 その魔性が持つ透過性が、圧倒的な『何か』の存在を予感させたんだろう。
 精霊や神様といった、ヒトではありえないものを漠然と意識することで。
「アーサ?」
「ん、なに?」
 唐突な問いかけに、反射的な返しが冴え渡る。
 特に意識することもなく、声だけで返事をしていた。
「教えてくれないかな、君が旅してる理由」
「んー……」
 訊かれたことをよく聞きもしないで、適当な相槌だけを打つ。
 気持ちは完全に上の空だった。
「アーサ」
 もう一度、少し強めの声で呼ばれて、ハッと我に返る。
「ごめん。何の話だったっけ」
「旅してる理由、教えて?」
 ナナシさんは呆れもせずに問い直してくれた。
 その声は、先程までとは打って変わった真剣さで。
 そんな彼女に、俺の思考も自然と切り替わっていく。
「それか。うーん……」
 とりあえず腕を組んで考えてみた。
 けれど、なにも思い浮かんで来ない。
 そういえば、旅をしてる理由なんて考えたこともなかったな。
 世界一周という目的だけを掲げた、放浪癖みたいなものだと自分では思っていたけど。
 こうして改めて問われると何か理由があるような気もするし……。
 難しい。
「んー、なんだろな」
「なによそれ」
 オレの煮え切らない答えにナナシさんはぶすっと、それでいて楽しそうに笑った。
「じゃあなに、アーサは理由もなく旅してるわけ?」信じられないとばかりに、言う。
「いや……」
 どうだろう。
 ない、とは言い切れない気もするんだ。
「何かあると思うけど。でもほら、オレって自分の行動に理由を求めるってあんまり好きじゃないし」
「お、ここに来て行動心理学が入ってきましたか。さすがはアーサ先生、学問に造詣が深い」
「……なんて言えばいいか分からないけど、理由って後付けな気がするだろ?」
 盛大に茶化されたことについては、盛大に無視した。
 ナナシさんはニコ〜っと笑って、それでも応じてくれる。
「後付け、ねえ?」
「そう。何かをするって究極的にそれがしたいかしたくないかだろ。理由より先にさ、そういう感情が来る」
 例えばそう、旅をしたいから旅をするんであって、旅が楽しいから旅をするわけじゃない。
 それは計画も打算も好き嫌いも超越したところにある、純粋な優先度の判断基準だ。
 結果的に楽しかったから『楽しむために旅をした』なんて理由にしてしまうだけで。
 要はそれだけの話なんじゃないかな、と自分を納得させることは出来る。
「なにその穴だらけの主張」
 と、ナナシさんは声に出して笑った。
「ああ、やっぱり?」
「そんなので納得するのは自分だけでしょ。屁理屈もいいとこだ」
「だよなあ」
 相変わらずの歯に衣着せない物言いに、しかしオレも笑って頷く。
「でもいいんだよ。屁理屈だって自分を納得させられるんならさ」
 結局は自分自身の問題なんだから、と言葉を繋ぐ。
「そうだけど。でもそれじゃ、やっぱりアーサは理由の無い旅をしてるってこと?」
「えーっとね……」
 結局そこに舞い戻ってくるわけだ。
「そうとも言い切れない」
「どっちなのよっ!」
 わちゃー、とナナシさんがずっこけた。
 元々仰向けに寝ていたので、単に寝返りを打つだけの行為ではあったけれど。
 中途半端な動作だけに、逆に精神的な打撃を受けるというか何というか。
「しょーがないだろ。何かあるような気がするんだから」
「ならその『何か』ってのを明示してみなさいよ」
 それが出来ないから困ってるというのに、ナナシさんは冷淡だ。
 不満を全身でアピールするように、オレは軽く頭を掻く。
「自然とやってることに理由付けするのは難しいんだよ」
「そんなの、自分の表現力不足でしょ」
 確かにそうだけどさ。
「……ならナナシさんはどうなんだよ。旅の理由、あるんだろ?」
 これ以上は確実にオレに不利になるので、あえて話題を転換した。
 彼女はそれに小さく首肯する。
「ん、そりゃまあ」
「聞かせてよ。ナナシさんの旅の理由っての、オレかなり興味あるし」
「んー」
 ほっぺに指先を押し当てて、何やら考えている様子のナナシさん。
 そうして少しの間だけ逡巡した後、決心したように元気よく頷いた。
「……うん。アーサにだったら、まぁ聞かせてあげてもいいな」
 オレにというより、自分に言い聞かせるような呟きだった。
 この場を包む優しげな空気がそうさせるのか、彼女の表情はいつにも増して穏やかだ。

「――私ね、でーっかい使命のために旅してるんだ」

 両手を目一杯に広げて、大きさを表すジェスチャーをする。
「でっかい使命?」
「そ。薄暗くて何にもすることがない場所にいて、そこから無理矢理引きずり出されてさ。なーんか偉そうなやつに色々お願いされたわけですよ。それがまあ、私の旅の発端で、理由なんじゃないかなーと思ってるんだけどあれー……?」
 自分で言ったにも関わらず、ナナシさんは困ったように首を傾げる。
 無理に言語化したせいで言いたいことが曖昧になってる感じかな。
 そういう感覚は、オレもよく分かる。
「お願いされたからって…それが君の旅する理由?」
「まぁ、一応そうかな。多分なんだけど」
「ヘンな理由だなぁ」
「そっかな?」
「旅は自分の意志でするものってのが持論」
 胸を張った。
 それに彼女はくすりと笑って。
「アーサらしいね、それ。でも私はわりと満足してるんだ。やっぱりさ、物事は発端や結果なんかより、それに至る過程が大事なんだなーって、この旅を通して色々学んじゃったし」
「どういうこと?」
「確かに私も最初は理不尽だなぁとか思ったよ。その、お願いしたやつのことね。問答無用でさぁ。しかも本当に切羽詰まって大変そうなんだって分かるから余計にタチ悪いのよ。こっちも鬼にはなりきれないしさ、ピッチピチの十代だし」
 そう言って、ナナシさんは悪戯っぽくウインクした。
 最後の方に聞こえた死語については、オレは苦笑することしか出来ない。
「で、まぁ渋々承諾して、色んなところに行った。本当に色々なところ。苦しんでるヒトも悲しんでるヒトもいたよ。もちろん楽しんでるヒトもね。喜んでくれたヒトもいたっけ。みーんなそれぞれなんだけど、共通してたのは今を精一杯生きてるところだった」
 話しているうちにその人達のことが頭に浮かんだのか、嬉しそうに微笑む。
 月明かりに照らされた笑顔は華やかで、オレにはそれがとても綺麗に映った。
「そんなヒト達との出会いを通じて、自分の中で何かが変わった気がするんだ。ううん、きっと変わったんだと思う。だからホラ、最初はすっごい迷惑かけたけど今はマジで反省してるよクロウっち! ……と私は自らのトーテムに熱く囁いたのでした」
 最後によく分からないことを言ったので雰囲気が台無しになった。
「…………」
 それでも。
 彼女が旅を通して得たものの大きさは理解出来て。
 オレとそんなに歳も変わらない、旅の経験なんてなかったはずの女の子が、そんなにも多くを学び取ったんだ。
 先輩の旅人として微妙に嫉妬する反面、旅という行為の素晴らしさを再認識したような、そんな感覚にとらわれた。
「とまぁこれが私の旅の理由。っていうか、旅の意義かな」
「……なるほどなあ」
 ――旅の意義、か。
 いい言葉だと思った。
「アーサもさ、旅の意義なら分かるんじゃない? 理由は分かんなくてもさ」
「…………」
 分かるかもしれない。
 旅の中で見聞きしたり感じたことは腐るほどある。
 それらを通じて得たものを意義とするなら、それはきっと正しい。
 だってそうでもなかったら、オレが今も旅をしてる道理がないんだから。
「……うん。それは確かにある」 
 少しだけ考えて、断定してしまうことにした。
 元より自分が旅をする意義なんて1つしか考えつかない。
「ホント? それじゃ教えて、アーサの旅の意義」
 そう言うナナシさんは、本当に屈託なく笑っていた。
 わくわくしてるのを隠しもしないところが、やはり彼女らしい。
「いいよ」苦笑、してみせた。
「わぁ、なになに?」
「オレが旅する意義は……」
 さっきのナナシさんの仕草を真似て、オレはコホンと思わせぶりに咳払いをした。

「生きることだ」

「えー?」
 ナナシさんの表情が瞬時に疑問符で埋められた。
 あまりにも予想通りの反応に、オレは内心で吹きだす。
「それって、どういうこと?」
「別にそのままだよ。言葉通り」
 ますます難しい顔をするナナシさん。
「つまりアーサは生きるために旅をしてるってこと?」
「それじゃ理由になるだろ。じゃなくて、旅をしてるから生きてるってこと」
「なにそれ、逆に言えば旅をしないと生きられないってことじゃない」
「あー、ある意味正解」
「ふあ?」
 ついに疑問を超えて混乱の域に達してしまったらしい。
 ぼーっと口を開けたままのナナシさんは、なかなかにコミカルだ。
「簡単なことだよ。オレはオレらしく生きるために旅をしてる。旅は手段だし、しかも目的。だから意義」
「……えーっ……な、なにゅー?」
 何語だよっ。と心中反射的にツッコんだ。
 どうやら見事なまでに理解できなかったらしい。
 心細げにオレを見つめる瞳に、思わず溜息が出る。
「つまりさ、旅がオレの生きがいなんだってこと」
 さすがに可哀想になったので、分かり易い言葉に言い換える。
 いや、これも微妙に意味が変わるけど……まぁいいか。 
「ああっ、なるほど」
 ナナシさんはようやく納得したように『ぽんっ』と手を叩いた。
 でも、すぐに難しい顔になる。
「……んー、でもそれってちょっと気になるかも」
「え、なにが?」
「自分らしく生きるために旅してるって言ったよね」
「ああ」
「じゃ、アーサの自分らしさってなんなの?」
「綺麗なものを綺麗なものとしてありのままに鑑賞する心」
「えっ?」
 即答されるとは思っていなかったらしい。ナナシさんは驚いた声を上げた。
 確かに、今までの流れから考えると不意打ちじみていたかもしれないけれど。
 でも、これに関してだけは胸を張って言えるんだ。
「昔っからそうなんだけどさ、俺って何かをじっと見てるのが好きなんだよ。人や街とか、空に火なんか。何にも考えないでそういうものを見てると、なんだかすごく心が安らぐ。だから俺はもっと色んなものを見たくて旅をしてるんだと思うんだ。その気持ちをずっと大事に取っておきたいから」
 "何かを鑑賞する"という行為は、俺の人格形成の上で大きな役割を持っていた。
 俺のこうした美的センスはどうも幼少時の段階で既に確立されていたようなのだ。
 とにかくじっと見ていると、それ自体が持っている『綺麗なもの』が見える気がした。
 その対象がヒトであっても、モノであっても。
 何もかもがそれぞれに綺麗なものを持っていて、それがすごく嬉しかったのを覚えている。
 宝石は触れて喜ぶものではなく、見て楽しむものだとする芸術的価値観の在り方に少し近いかもしれない。
 だから情緒を育てるために、俺は一カ所に留まるわけにはいかなかった。
 俺にとっての旅は生きることと同義で。
 それもいいと思うんだ。
「…………」
 ナナシさんは黙っていた。
 考え込むように、焚き火の炎に閑かな視線を向けている。
 ヘンなことを言っちゃったかな、と思うと苦笑が漏れた。
「……アーサ、ひとつ訊いてもいい?」
 どこまでも神妙な面持ちで。
 彼女は顔を上げた。
「ん? 別にいいけど」
「あの……さ」
「うん」
 オレは頷いてナナシさんの目を覗き込む。
 彼女は自然なタイミングで顔を背けた。
 恥ずかしがっているような素振りに、あれ、と思う。
「どうかした?」
「いや、大したことじゃないんだけどさっ」
 問いかけると、照れたようにアハハと笑うナナシさん。
 恐る恐るといった様子で目だけを振り返りながら。
「……その、君からだと、私はどんな風に見えてるのかなぁって」
「もちろん綺麗だよ。とっても」
 即答した。
 本心からの言葉だった。
「――――――」
 それに、ナナシさんは目を見開いて。
「そっかぁ」
 明るい声で呟くと、オレから背を向ける形でころっと寝返りを打った。
 顔が見えなくなったので分かりづらいが、肩が揺すられっぱなしなのを見ると必死に笑いを堪えているんだろう。
 そんな仕草が可笑しくて、オレも声を殺して笑ってみる。
「こら、笑うな」
「げ、バレた」
「他人の後ろ姿見て笑うなんてサイテー」
「他人の言葉聞いた途端に爆笑した人が何を」
「しょうがないじゃん、楽しいんだから」
「俺もすっげーおかしいんだけど」
「……ぷ」
「はははっ」
 そうして、オレ達はまた声を上げて笑った。
 月の微妙な光と影と、その旅情感に縁取られて。
 幸せだなって、飽きもせずに思った。

 
 3/


「……なあ、ナナシさん」
 一頻り笑って、再び静寂が辺りを包み始めた頃。
 オレはナナシさんに声を掛けた。
 あることを閃いてしまったからだ。
「なーに?」
「オレ、いま1つ思いついたんだけど」
「うむ?」
「旅する理由が分かんないって言ったの、あれ取り消し」
「……みつかったんだ?」
 言葉の意図をすぐに理解したらしく、ナナシさんはニコッと笑った。
 また、わくわくが顔中に広がっている。
 堪らず苦笑するオレも意に介さない様子で。
「で、ずばり、アーサが旅する理由は?」
 ビシッと人差し指を突き付けるナナシさんに、オレはやっぱりコホンと咳払いをして。


「――俺はナナシさんに会うために旅をしてた」


 そう、言った。
 一切の躊躇も恥じらいも見せなかった。
 ただ毅然として、そうあることが当然のように。
 それが、本心だったからだ。
「――――――――――――」
 ナナシさんは心底、虚を突かれたような顔をしていた。
 きょとんとした表情で、呆然とオレを見つめている。
 ……勝利感よりも、気恥ずかしさが優った。

「…………いいの?」

 と、ナナシさんが呟くように言った。

「……それじゃ、後付けになっちゃうじゃない」

「理由なんて基本的に後付けするもんだよ」

「……自分の主張を曲げることにもなる」

「自分が納得できるんなら何だっていいさ」

「…………本気?」

「オレがナナシさんに嘘ついたことあったっけ」





「――大好き」

 抱きしめられた。










 そんなこんなで夜も更けて。

 でもまたすぐに明けて。

 7日目が終わる。

 8日目が始まる。

 でも、その前にもう少しだけ。

 あの月が、空に浮かんでいますように――


                                              終/










 ~tightskirt message~(前編)





 1/


 空は快晴。見上げれば視界に飛び込んでくる色彩は、遠く淡く、吸い込むように柔らかな水色だった。
 雲の隙間から差し込む白光の暖かさに応えるように、西からの風が戯れる手つきで前髪をくすぐる。
 リーリルの街は今日も賑やかだった。
 絶えず循環する水路のおかげか、整理された街中は涼しげで気持ちがいい。小さく伸びをすると、微風がまた頬を撫でた。
 無条件に安心できるような、そんな居心地のよさに思わず眼を細める。うららかな昼下がりを感じさせる全てが眩しくて、嬉しい。
「らーらー、人間ーはーとてもさーびしいよー♪」
 大好きな歌を小声で熱唱しながら街を歩く。柔らかい風が追いかけてきて、優しく私に触れた。後ろ髪がふわりと揺れる。
 その情景が楽しくて、意図せず笑みが零れてしまった。私の心も今は風みたいに軽くて、ふわふわと舞っている。何故かそんな気がするのだ。

 さぁて、今日は早くアーサのところに行かなくちゃ――。

 心の中で気合いを入れると視線を落として、自分の右手に収まっているそれを見る。
 綺麗な緑色の包み紙。ピンクのリボンが添えられたそれは、今しがたそこの雑貨屋で手に入れたバンダナだ。
 真っ赤な、シルクみたいな生地に、センスよくデザイン化された黒と橙の炎が刺繍されているちょっと素敵な一品。
 お値段ずばり630シルバ。コレ1つで宿屋に二十一日間素泊まり出来るという、奥様驚きのコストパフォーマンスだ。
 ……さて。これは、ちょっとしたプレゼントである。
 この前、些細な悪戯でアーサのバンダナを焚き火の燃料にしてしまったことがあった。あくまで事故だったワケだけれども。
 あのときのお詫びというコトでもないケド、過失には代償があって然るべき、というのが私の生来のモットーでありポリシーだ。
 だからこその品であって、けっして、単にプレゼントを渡してビックリさせたい、なんてことでは全くないのである。
『そのわりに謝罪の念を微塵も感じないぞ、ナナシよ』
「私はね、38歳になるまで反省も後悔もしないって決めてるのっ」
『自信満々に言うことでもないだろうに……』
 私の小粋なジョークに、クロウは『あ?』みたいな顔をした。思わず溜息。
 パートナーとして不満はないけれど、どうもこのコは冗談が分からなくていけない。

「――楽しそうね、ずいぶんと」

 宿屋を通り過ぎ、クラート医院の入口を横切った辺りで、唐突に声を掛けられた。
 振り返ると、ウワサの金髪の美人若妻さんが後ろの壁により掛かって腕を組んでいるのが目に入った。イシュテナさんだ。
「イシュテナさん? 楽しそうって、私がですか」
 訪ねると、イシュテナさんは首を縦に振った。優しい顔でにこりと笑う。
 そんな何気ない仕草にさえ気品が満ち溢れていて、やっぱり凄いな、と思った。
 この人が持ってる高潔さや綺麗さは純粋に羨ましい。女として……うん、まぁ女として。
「だって、ニコニコ素敵な笑顔で歩いてたじゃない?」
「えっ、マジですか!?」
 ぼっと顔が赤くなるのが分かった。
 風と陽射しの心地よさにニコニコしてるなんて、人に見せられる場面じゃない。
 というか、そんな自分が途轍もなく幼稚な気がして、何となく敗北感があった。
 恐るべし大人の女。ウフフとやんごとなく微笑む姿は読んで字の如しの美貌に違いない。
「うぅ、どうか近隣住民には内密に……」
「ふふふっ、嘘よ。見てないから心配しないで」
 泣きつく私に対して、イシュテナさんは楽しげに手をヒラヒラと動かした。
 悪戯っぽく右目でウインクをして…その顔には含みがありありと窺える。
「実は私は気候がイイ感じになると顔面筋肉が緩むというヘビーな心の病を抱えています」
「それで取り繕えると本気で思ってるところがアナタのスゴいところだと思うけど、どうかしら」
「同意を求められると悲しいものがありますね」
 ニコリと微笑みをかわす。心の中は青単色だったけど、私は涙を見せなかった。
 だって、女の子だもんっ。(←超ハイセンスなギャグだと思い込んでいる)

「で、これからアーサくんのところに行くと」
「な、何故それを――!!?」

 唐突に行動を予見されて心底驚いた私のオーバーリアクションは並じゃない。
 その場で30pほど飛び上がった私を見て、イシュテナさんは苦笑を浮かべた。
「貴女も大概分かり易いわよね。ホント、素直に感心するわ」
「どうして分かったんです? 賢者の孫パワーですか?」
「使用出来る人が限りなく限定されそうなパワーね、それは」
「限りなく限定、というのは意味の重複だと思いますがどうですか」
「…意外とイヤな性格ね」
 そうじゃなくて、とイシュテナさんは続けた。ふわりと髪を掻き上げる。
「だってアナタたち、いつも一緒にいるじゃない? まるでナイフとフォークみたいに」
 セットで、と言葉を継ぐ。その顔は優しく、冗談やからかいは感じられなかった。
 だから私も真剣になる。
 実際、どうなんだろうとは思っていたことだった。
 確かに私は頻繁にアーサのところに奇襲をかけている。ご飯を一緒に食べるコトなんてザラだし、星を眺めたり、お互いの旅の理由について話し合ったりしたこともある。
 何て言うかそうしていることが楽しいから、いつの間にか「そうしていること」が自然になっていた。
 でも、それはどんな感情から来るものなんだろうか、と深く考えたことはない。
 アーサと一緒にいると、あやふやで漠然とした、無意識的な楽しさがある。理由は特になく。でもよく考えると、それは少しおかしいんじゃないだろうか?
 腕を組んで考えていると、イシュテナさんがおかしそうに首を傾げた。
「私はてっきり、アナタ達は付き合ってるものだと思ってたけど」
「つ、付き――っ!!!?」
 思わず息を呑む。言葉の意味を理解するのは早かったけど、イシュテナさんの意図を読みとるのは難しかった。
 イシュテナさんはニヤニヤと笑って――もう今が心底楽しい! みたいな笑顔だ――人差し指を私に突き付ける。
「もしかして、自覚無かった?」
「じ、自覚も何も、私達は別にっ、ただの友達というかっ」
 しどろもどろになって、言う。自分から言っておいて何だけど、「ただの友達」って響きはそれはそれで悲しかった。
 アーサとはもう少し深い間柄だと自分では思っている。友達以上恋人未満、というか。うぅ、これもこれで悲しいかも。
 イシュテナさんは私の言葉に肩を竦めて……子どもの嘘を見抜いている母親みたいな、慈愛さえ感じる苦笑を見せた。
 その余裕はもしかしたら、ツメを前にした棋士のそれだったのかも知れない。
「ふーん、そっか」
「そ、そうですよっ!」
 私が力強く(必死に、かもしれない)肯定すると、にこにこと目を糸にして微笑む。
 とても綺麗な笑顔なのに、背筋に寒気が走るのはどういう理屈なんだろう?

「それじゃ、彼のこと好き?」

「きゃぅ――っ!!?」
 ボッ、と顔面に火がついたような感じだった。いや、顔面に火を付けた経験ないけどね。アハハ。(※混乱)
 イシュテナさんの言葉に、アーサの姿が一瞬だけトレースして、頭がぐわんぐわん揺れる。
 今まで特に意識してなかった感情を具体的な単語に当てはめられる、というのは精神的に結構キツかった。
「可愛い反応ねー。撫でてあげちゃうぞ、もーっ」
 わしゃしゃしゃー! と私の頭を撫で回すイシュテナさん。
「ちち違いますよ! す、好きじゃないですってば!」
「好きじゃないのに、いつも一緒にいるの?」
「ええっと、好きにも色々あって! イシュテナさんのとは違う意味では好きです!」
「あらそう? ところで、私の『好き』の意味っていったいどういうことかな?」
「んーと、だ、だからぁ、それはそのぉ〜っ!」
 ほとんど半泣きだった。もう、頭がテンパって何が何だか分からない。
 アーサのこととか、アーサといるときの自分のこととか、考え始めると頭が白くなる。
 何より、自分がアーサのことを『好きじゃない』と言ったのもショックだったっていうか。
 そして、そんな私をかつてないサワヤカ笑顔で見つめる、金髪美人若妻もとい金髪デビル。
 少しだけ何事かを考えるように首を傾げて、すぐに戻す。
「……じゃあ、そうね。メアリーちゃんっているでしょ?」
「え、メアリーちゃんって、エージスさんの娘さんの?」
「そうそう。あの可愛いコ」
 私の頭の中に『?』が泡のように浮かんできた。ここで彼女が出てくる真意が、どうしても読み取れない。
 それでも反射的に彼女の細い足や白い肌、究極武装(※メイド服)を思い出して……やっぱり羨望。
 自分に無くて人にあるものを無意識に羨ましがるきらいが、私にはある。
 綺麗な人が羨ましい。強い人が羨ましい。自由に生きて、死んでいける人が羨ましい。
 こんな話をアーサにすると……彼は少し顔を赤くして、「ナナシさんにはナナシさんのいいところがあるよ」って言ってくれる。
 それは凄く嬉しいけど、私には自信がない。私のいいところって何だろうと思ってしまう。
 そんな自分がイヤだった。
「メアリーちゃんがどうかしたんですか」
「もしも彼女とアーサくんが付き合ったら、どうする?」
「!?」
 その質問はおそらく、私にとって鬼門だったのだと思う。多分、きっと。
 身体の中に稲妻が走ったみたいな衝撃。『イヤだ』って全身が悲鳴を上げて…でも、私は強がる。
「べ、別に。何とも思わないデスケド……」
「そう? じゃ、アーサくんとメアリーちゃんが街でデートしてるのを見るのは?」
「ええっ!?」
 悲鳴じみた声を上げてしまう。うぅ、そのシチュエーションは……っ。
「街で手を繋ぐ2人。楽しげな笑い声。それを祝福するかのような青空……」
 そうして、イシュテナさんは語り始めた。思わせぶりな流し目で。


『ねぇアーサくん、今日はとってもいい天気ね』

『そうだねメアリー。きっと、神様がオレ達に気を利かせてくれたのさ』

『でもいいの? デートなんて。何だか、ナナシさんに悪い気がする……』

『いま他の女の人の名前なんて出さないでくれよメアリー。
 ナナシさんは関係ないよ。だってオレとナナシさんは、ただの友達なんだから!』


「ちょ、ちょっと待って! ストップっ!!」
 私は焦った。どうしてか分からないけど、無性に焦っていた。
 青空の下で笑い合う2人。私服のメアリーちゃんは凄く可愛くて、アーサはもうメロメロで、そんな2人を遠くから眺める私がいる。
 突拍子もなく頭の中に浮かび上がってくる光景がどうしようもなく切なくて、キリキリと胸を締め付けられるような感じがした。
 うわ、泣きそう。
「だーめ。最後まで聞きなさい」
 そんな私の感情を知ってか知らずか……多分知った上で、イシュテナさんは続けた。


 『ねぇアーサくん……。私、今日は帰りたくない……』

 『それじゃ、オレのキャンプに来る? 星でも見ようか、2人だけで』

 『……星を見る、だけ?』

 『メアリー。それをオレに言わせるのかい? 君って意外と小悪魔だなぁ』

 『いいから答えて、アーサくん。今夜は、何をするのかって』

 『よーし! オレも男だ、言ってやるよ! 今夜オレ達はなぁ!』


「やめて――――――ッッ!!!」
 思わず叫んでいた。勢いに任せて、イシュテナさんの口を塞ぐ。
 これ以上こんな話を聞いてたら、私はダメになっちゃう気がした。 
「むぐー! むむむっ!!」
 必死に首を振ってもがくイシュテナさん。でも力は私の方が強いのだ。犬パワーがあるから。
『ちょっと待て、その不名誉な名称は我のことを言っているのかっ!!?』
 がおーっ、とクロウが心外とばかりに捲し立てたけど、私はそれを無視した。
「モウ言イマセンカ?」
「むーっ!(こくこく)」
 拘束を解く。同時に、ハァハァと息を荒げるイシュテナさん。
 ちょっとエロいな、と思った。(←ダメ人間)
「はーっ、もうっ。こんな乱暴にされたのは初めてよ……っ」
「い、イシュテナさんが悪いんですからねっ。あんなコト言うからっ」
「アナタが素直にならないからよ」
 イシュテナさんは悪びれもせず小さく肩を竦めて、そう言った。
 駄々っ子を見るように……真剣で、少し残念そうな目で、私を見る。
「もう一度だけ聞くわよ。アーサくんのこと、好き?」
「……ぅ」
「人を窒息寸前まで追い込んでおいて、今さら言い逃れはナシよ?」
「…………ぅぅ」
 顔がどんどん紅潮していくのが自分でも分かる。怖いくらいに。
 頭にアーサの顔が浮かぶ。アーサの声が浮かぶ。雰囲気が……浮かぶ。
 私は彼のことが好きなのだろうか。深く考えたことはない。考える必要もないと思っていた。
 彼といると不思議と心が楽になった。自然体の私でいられる気がした。それがとても心地好かった。
 それ以上の関係を求めていたワケじゃない。ただ屈託無く笑えて、自分らしく話せて、ありのままの私でいられる。
 今の関係が……。

 びゅう。

 不意に、風が吹いた。
 今までよりもずっと優しくて柔らかい風は、私を包むように一瞬だけ巻いて、やがて抜けていく。
 その心地よさ。思わず頬が緩んで、身体の強張りが解ける。ほどけた糸みたいに、するりと。
 それが、心の澱まで洗い流してくれたのかも知れない。
 虚飾も虚栄も、自分を誤魔化す全てが消え去っていくように……心が穏やかになってくる。
 今のままでいたいワケじゃない。もっとアーサといたいし、もっと深く彼と付き合いたい。
 手を繋いで歩いてみたいし、甘えたりもしてみたい。抱きしめて欲しい。甘えたりもして欲しい。
 だって私は、アーサのことが――――――。


「好き、です……」


 言った。
 正々堂々と言ってみれば、なんてことはなかった。
 泰然自若として、「それが何か?」みたいな余裕さえ感じる。
「誰のことを? どんな風に?」
「あ、アーサのこと……男の子として……っ」
「ほうほう」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!」
 前言撤回。やっぱり何がどうだろうと、恥ずかしいものは恥ずかしい。
 細々と言う私に、イシュテナさんは太陽みたいな笑顔を満面に浮かべた。
「うん、よく言えました。いいこいいこ」
 なでなで。イシュテナさんの細い指が私の髪を梳くように優しく伝う。
 私はきっとユデダコみたいになっているに違いなかった。顔が熱すぎて、死にそうだ。
「あー、私って嗜虐趣味だから、そんな可愛い顔されるといじめたくなっちゃうわ」
 そしてやっぱりクスクスと笑う、意外にも(※ほぼ嘘)Sだった金髪デビル。
「ね、アーサくんと、どんなことしたいのか言ってみて」
「えええええ――――――――――――っ!!!?」
「うふふ、ジョーダンよ。ジョーダン」
「そのテの冗談は心臓によくナイデス……」
 すぅはぁ、と大きく息を吸う。これ以上の衝撃を受けたら心臓止まるかも知れない。
 改めて意識してしまうと、アーサのことを考えるだけで顔が熱くなってくる。
 イシュテナさんは「ごめんなさい」と苦笑混じりに言うと、ぐっと親指を立てた。
「……なんですか、その指は」
「心配しないで、ナナシさんの恋は私が成就させるから」
 うわぁ、光り輝かんばかりの笑顔だ……。
 自信満々のイシュテナさんは、頼もしいというより妖しげだった。
「いえ、そんな、別にイシュテナさんのお手を煩わせる気は……」
「大丈夫。既婚者のテクニックを教えてあげるわ、ふふふ」
 要するにヒマなんだろうなぁ、と何となく納得した。











 ~tightskirt message~(後編)



 1/




 拝啓前略アーサ殿。大切な用がある。至急サリムの別荘近辺、湖のほとりまで来られたし。
 追伸、断ることは許さない。逃げずに一人で来るがいい。わははははー。

                                  ――ナゾ乙女より





「…どんなリアクションを求められてるのかな、コレは」
 矢文の内容を検めて、オレは深いため息をついた。呆れ半分、面白半分という複雑ブレンド。
 考えられる可能性を取捨選択するまでもなく、これがナナシさんの所業であると分かった。
 世界一周の旅も無事に終わり、オレはひとまずサーショで生活をしている。
 生活といっても次の旅のための準備期間で、実質的には野営に近い。
 さて、旅を終えた以上は一か所に留まることになるワケで、だから最近はナナシさんと会う機会も減っていた。
 そもそも、オレ達の接点は「旅の途中で偶然出会う」ことに帰着するのだから、当然と言えば当然なのだけれど。
 でもやっぱり――そんな折の、矢文だった。
 不安がないと言えば嘘になるし、期待がないと言えばこれも嘘になる。
 偶然ではあったけれど、旅の中でナナシさんと交流を持てたのは本当に良かったと思っている。
 何でもない会話から趣味や雑学についての話、果ては哲学めいた言い合いもあったほどで、一人旅という時間の中でそんな相手に巡り合えたのは奇跡と言うより他にないだろう。
 まぁ、たまにものすごく大変な時もあるのだけど、ソレはソレコレはコレというやつだ。
 頭に巻いた赤いバンダナを指で弄くる。三枚あった予備は今やこの一つを残すのみになっていた。
 言うまでもなくナナシさんの仕業である。
 物体は音の壁を通過すると強い衝撃を受けるコレすなわちソニックブームなりー、とか言ってブンブン振り回されているうちに本当に炎上したバンダナ一号。
 オーラを刃状に変化させ万物を切り裂くコレすなわち真空波なりー、とか言って二本指で突つかれているうちに本当に切り刻まれたバンダナ二号。
 目をつぶれば彼らの無残な姿が容易に思い返せる。(※焚き火の燃料として美味しく頂きました)
 涙なくしては語れないレベルの凄惨な思い出。
 …でも何故だろう。自分は楽しそうに笑っていたりするのだ。
「何だかなー。最近ヘタレてるよな、オレ」
 ぼやいて、焚き火に薪をくべた。バチバチという乾いた音が、変に軽快だった。
 まぁアレだ。何だかんだ言って、オレはナナシさんの無茶に付き合うのを楽しんでいるらしいのだ。


 2/


 そんなこんなで、ナゾ乙女さん(微妙にゴロがいい気がしてきた)の指定した湖に到着した。
 太陽の位置はちょうど中天辺り。周囲に人の姿はなくて、湖は風で緩やかに波立っている。
 世の中にある陰性のアレコレなんてお断りですよ、とでも言わんばかりの平和な光景がそこにはあった。
 思わず笑ってしまう。サッパリした場所のチョイスがあまりにも「らしい」感じがして。
 オレが抱いている彼女のイメージの、そのままの景色だった。
「…ちょっと早く来すぎちゃったのかな」
 ゆったりとした湖のほとりに腰を降ろしながら、呟いた。
 よく考えたら時間指定もなかったわけだし、もっと遅くてもよかったのかもしれない。
 特に意識していなかったけれど、オレはオレなりに早くナナシさんに会いたいと思ったのだろうか。
 ふっとそんなことを考えて、ぷっと吹き出してしまった。今さらだなぁ、と。
「まぁ、待つのは嫌いじゃないし」
 その場にごろんと寝転がる。湖面は陽の光を反射して、さらさらと白く流れた。
 空は文句の付けようもないくらいの快晴。気温は高くも低くもなく、風は穏やかにそよいでいる。
 眩しさに目を細めた。
 絵に描いたように晴れやかな世界は、嘘みたいだけれど、いま俺の周りにあって。
 それを幸運だと思えることが既に幸運で、つまり幸運なんて探せば見つかるんだなぁ、とか。
 取り留めもないことを考えて、そんな自分がおかしくてついつい笑ってしまったり。
 そんな時だった。

「あ、ああああアーサ。ままま、待った?」

 寝転がったオレを上から覗き込むような、ナナシさんの姿があった。
 日差しの影で顔はよく見えないけど、心なしかひきつっているような気配。
「いや、別に待ってはないよ。…ナナシさん、どうかした?」
 身体を起こしてみると、彼女の様子のおかしさが明らかに際立った。
 奇妙に顔が赤くて、挙動不審で、それに加えて目が頼りなさげに泳いでいる。
 頭一つ大きいオレを不安そうに見上げる様子は、いかにもナナシさんらしくない。
 普段なら寝ているオレにボディプレスの一つでもかましていただろうに、指をもじもじと絡めて恥ずかしげな表情。
「…………」
 なんていうか、すごく、あやしい。
 わざわざあんな矢文を寄越したくらいだし、斬新な切り口でこちらの意表をつくつもりやもしれぬ。
 野性のカンに近い防衛本能が働き、オレは両手を胸の前に構えて威嚇の態勢をとった。
「あの、アーサ、今日はえっと…そのぉ」
 な、オレの威嚇が通じていないのかっ?
 さすがというか、ナナシさんは指を絡ませて俯いたまま不動の構えだ。
 いつあの構えが解かれて鞭のような攻撃が襲ってくるのか分からなくて、オレは気が気じゃない。
 そんな未知の状況に内心ガタガタ震えているこちらを無視して、彼女はすうっと息を吸った。
「き、きき、今日は誘ってくれてありがとーねっっ!」
 あははーと豪快に笑ったかと思うと、やだーもーとか言いながらオレの頭をばこーんと叩く。
 それは正直いつかの星が見えそうなくらいヘヴィな一撃だったけど、ギリギリで何とかこらえる。
 気になることがあったからだ。
「誘ってくれて…ってどういうこと?」
「へ…? ど、どういうことって、え?」
 疑問を口にすると、ナナシさんがぽかんと口を開けた。
 それも一瞬で、赤い顔のまま言いにくそうに指をからめ始める。
「だ、だって…アーサが誘ってくれたんでしょ? その――デートとか」
「デート(date)? いや、日付なんて誘った覚えはないんだけど…」
 そもそも日付を誘うって文法的にアリなんだろうか、と思わないでもない。
「え? な、なに、それってどういう……」
 首をかしげるオレに、ナナシさんは困惑を隠せない様子だった。
 最初から違和感があったけど、今度は爆発しそうな雰囲気だ。
 爆破予想地点にいるこっちとしては非常にマズい事態。
「あの、オレはナナシさんに誘ってもらってこの場所に来たんだけど…」
 何か決定的につじつまが合っていない気がして、オレは自分の状況を説明することにする。
 ほらこれ、と手紙を取り出して見せると、ナナシさんが硬直した。
 
「――なにこれ」

 瞬間、ぞっとした。それくらい無感情な声だった。
 ついでに言うと顔の方にも表情が無くて、それが困惑から来るものかどうかも分からない。
 とにかく一つだけ確定的なのは、矢文の差出人がナナシさんではなかったということだ。
 さらに言ってしまえば、この差出人は彼女の知人かもしれないなーという直感も働いていたりする。
「…………」
「え、なに、なんだって?」
 小声でボソボソと呟くナナシさんに顔を近づけると、「あの人妻」だとか「小悪魔のつもりか蛇女」だとか、断片的にでも黒々とした輪郭が垣間見える、それはもう怖いくらい物騒な単語が次々と飛び込んできた。
 間違いない。ナナシさんは怒っている。とても怒っている。そして原因は差出人であることに間違いない。加えて言えば差出人は100%この場にいない。ナナシさんの性格を知っている者ならいるはずがないからだ。
 彼女は感情の融通が利かない。楽しい時は気が済むまで笑う。不満がある時は無くなるまでぶつける。おそらく悲しい時は涙が枯れるまで泣くんだろう。そして今は怒っている。これはどういうことを意味するのか。
 何となくわかってしまうあたり、直感というのは罪深いと思う。


 3/


「ムキぃ――――――――ッッッ!!!!」

 
「うわあああ! ナナシさん落ち着いて!」
 ある意味で期待を裏切らないと言うべきか、完璧に予想通りの展開だった。
 平和の象徴のように穏やかだった湖は怒声と水飛沫によって阿鼻叫喚の地獄に変わっている。
 想像に反することなく怒っていたナナシさんは、怒りを鎮めるためにものに当たったのだ。
 でも周囲にはちょうどいい障害物がなかったらしく、結果として湖に飛び込んだようで。
 そんなこんなで着衣のままガムシャラに湖面を叩いて怒声をあげる形に落ち着いたという状況らしい。
 にも関わらず誰から見ても溺れているようには見えないのは、流石にナナシさんというところか。
「ナナシさん、とりあえずあがろう! ほら、風邪ひいちゃうから!」
「むっき――――――――っっ!!!」
 手を差し伸べたオレを睨むように見つめながら、ナナシさんはなおも湖面を叩き続ける。
 ばっちゃばっちゃ。どっぽんどっぽん。コミカルな音に、日差しを反射する水飛沫がキラキラと眩しい。
 見る人が見たら水遊びをして楽しんでるように見えなくもない。…かもしれない。
 どっちにしても、ナナシさん自身は絶対に楽しんでやってるような気がする。
 何をやっても楽しそうに見える人っていうのも珍しいっていうか、羨ましいっていうか。
「むき!?」
「いえ…ナンデモナイデス」
 笑ったら睨まれた。怖かった。


「うぃぅ…さぶひ」
「そりゃ、湖に飛び込んだら普通は寒いって」
 30分もしてようやく怒りが収まったナナシさんは、湖から出るなりガタガタと身体を震わせた。
 オレは苦笑して見せ、事前に組み立てておいた焚き火の前に彼女を座らせた。乾いたタオルを渡す。
 ナナシさんは器用に体を震わせて水を弾くと、タオルを頭から羽織るように身につけた。
 うー、と唸る。
「何か、アーサの手際が良すぎてイヤ」
「そこは喜んで欲しいんだけどなぁ。はい、お茶」
 火にかけていたお茶をカップに注いで渡すと、ナナシさんは複雑そうな顔で受け取った。
 多分、冷静になって恥ずかしくなってきたんだろうなと考察。彼女は変なところで繊細なのだ。
 ふーふーと息を吹きかけて、熱いお茶をすする。ほっと息をつくと、彼女はオレに視線を寄越した。
「…呆れちゃった?」
「うん。まぁ、それなりに」
 質問に答えると、ナナシさんは「そっかぁ」と顔を伏せた。そっかそっか、と。
 それは照れているような、落ち込んでいるような、とても複雑で繊細な声だった。
「失敗しちゃったなぁ」ぱっと顔を上げて、ナナシさん。「今日はちゃんとする予定だったのに」
「気を遣ってくれてたんだ?」
「そんなんじゃないよ。ただ…」
 ナナシさんは困ったような顔で笑うと、カップに口をつけた。ぐっとそれを傾ける。
 けれど、どうも熱かったようで、すぐに口を離した。指で唇をさするようになぞって、息を吐く。
「ひょっとして、落ち込んでる?」
「うん。まぁ、それなりに」
 オレの問いに彼女はおどけたような声を出すと、首をかしげた。弱い表情で、笑う。
「考えたらさ、アーサが私をデートに誘ってるなんて話、信じる方がどうかしてるのにね」
「…どういう意味。それ」
「だって私、メアリーちゃんみたいに可愛くないし、イシュテナさんみたいに綺麗じゃないし。それに…こんなんだし」
 ナナシさんはぎゅっと膝を抱えると、そこに頭を押し付けた。左右にぐりぐりと頭を回して、情けない声を出す。
 その動作の一つ一つに落ち込んでいる様子がよく表れていて、オレは懐かしいような思いにかられる。
 感情の起伏が激しい人だ。…ナナシさんと初めて言葉を交わしたとき、オレは彼女をそう評価した。
 楽しげで、テンションが高くて、人懐っこい。けれど繊細で、落ち込み易くて、すぐに沈んでしまう。
 ガラス細工のような。猫のような。
 でもそれは誤りで、本当の彼女は感情に嘘がつけないだけなんだ、と気づいたのはいつだったろう。
 普通の人が押し殺したり、隠したりする感情を、ナナシさんは正直に吐き出す。
 楽しさも、落ち込みも、怒りも、傷ついていることも。何一つ取り繕ったりしない。
 それがナナシさんっていう人で。
 オレは、それがとても嬉しくて。
 だから、今のだけは絶対に――

「悪いけど、ちょっとだけキレるよ、オレ」

 声をかけると、ナナシさんは驚いたようにオレを見た。えっ、と息を漏らす。
「…なんで?」
「今のナナシさん、頭きた。だから怒る」
 答えると、ナナシさんはよく分からないという顔をして、眉をひそめた。
 本気で理由が分かっていないあたり、この人は信じられないくらい大物だと思う。
「オレ、基本的に自分の気持ちには胸張ってるからさ。それを曲げられるとイヤなんだ」
 どういうこと、とナナシさんの目が訊いていた。
 オレは首を左右に振って、息を吐く。
「オレがナナシさんをデートに誘わないとか、ナナシさんは可愛くないとか、そういうこと言われるの凄いイヤだ。凄いイヤだから、今のはカチンときた。だから、怒ってる」
 言いながら、顔の熱さを自覚していた。これは頭に血が昇っていることからくる熱で、問題はその理由だ。
 怒っているから。普段より強い口調でしゃべっているから。それもある。それもあるけど、一番の理由はこれから自分が最高に恥ずかしいことを言うんだっていう、緊張と興奮と恥ずかしさがいい感じに配合された感情のせいだった。
「オレは――」途中で言葉を切って、息を大きく吸う。一拍を置いて。

「オレはナナシさんが可愛いと思うし、綺麗だと思ってる! だからデートに誘う、ものすごい誘う! イヤだって断られたって知ったことじゃない! それくらいデートに誘いたいって思ってる! だから今後はオレのそういう気持ちとか覚悟とか、ちゃんと理解した上で発言に及んでくださいっっ!!!」

 言い切った。途中から自分でも何言ってるか分からなくなったけど、とにかく言いたいことを言ってやった。
 背中が冷や汗で冷たいし、顔は火が出るんじゃないかってくらい熱い。それでも「やってやった」っていう達成感の方が強かった。
「――――」
 ナナシさんはしばらく呆然と目を白黒させていたけど、やがて「ぷっ」と吹き出した。
 お腹を押さえて…というよりは思い切り抱えて、声を押し殺しながら盛大に肩を揺する
 その反応は正直予想通りで(※半分嘘)、オレは濡れて冷たい背中の感触に顔をしかめた。
「…えっと、笑われると辛いっていうか、その……」
 恐る恐る俯いたナナシさんの顔を覗き込む。彼女は肩を震わせて。
 泣いていた。身体を丸めて泣きながら、むせて、咳き込んでいた。
「え、その、泣かれると余計に…」
 ナナシさんの反応が予想外すぎて、オレはすっかり動転していた。
 怒らせたことも、笑わせたこともあるけど、泣かれたのは初めてだった。
「……ぁ…さの…ばか…ぁ」
「ごめんね。ナナシさん、ごめん」
 どうしたらいいか分からない。どうしたらいいか分からないから、とりあえず謝った。
 よく分からないけど、そんな自分がとんでもなく情けない気がして、切なかった。
「ちが………の……ぉ…!」
 嗚咽交じりに、ナナシさんが口を動かした。
「ぁ…たし、嬉…し…だっで…そ……ん…なの……言ってもらったこと……なぃ……!」
 しゃくり上げて、鼻を啜って、ナナシさんは泣いている。泣きながら、笑っていた。
 ああ、オレ、この人のこと本気で好きなんだなぁ――
 オレはずっと前から思っていることを飽きもせず考えて。

 それが、信じられないくらい、幸せだった。


 4/


「服、乾いた?」

「かわいた」

「デート、してくれる?」

「じょうけんが、ふたつ」

 ナナシさんは右手の2本指を差し出して、言った。

 オレが首をかしげると、湖のほとりに置かれていた包みを持ってきて、中を開いた。

 そこには、赤地に黒と橙の炎が刺繍された、綺麗なバンダナが入っていた。

「これ、つけて」

「貰っていいの?」

「うん。つけてほしい」

 ありがとうとお礼を言って、バンダナを付け替える。

 新品のバンダナはとても気分がよくて、思わず顔がほころんだ。

 ナナシさんも嬉しそうに笑っている。

「似合う?」

「すごい、いかす」

「やった」

「それで、もうひとつのじょうけんは」

 ナナシさんはそこでふっと眼を閉じた。軽く息を吸って、吐く。

 静かに、ゆっくりと瞼を開いて。



「私を、アーサの恋人にしてください」



 はにかんだ笑顔が、とても綺麗だった。

 オレの答えは決まっていた。



「オレを、ナナシさんの恋人にしてください」



 オレ達はキスをして、気持ちの全部を込めて、笑った。


                                              終/










もげ
2009/04/01(水)
18:12:01 公開
■この作品の著作権はもげさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのコメント
そんなこんなで制作に58時間を費やした後編でした。
100回にも及ぶ推敲によって完璧な文章になりました。
いやもう、自分で言うのもなんですが最高傑作です。
完璧すぎて色んな人に見て貰いたいくらいですよ!
いやぁーこれを書いてよかった。

それでは完璧すぎるあとがきで失礼しました。それでは!


2009年4月1日 もげ


P.S
あくあまりんさんの短編に対抗しました。
僕もうアサナナ好きのみんなに顔向けできないんでアルナナ派に宗旨替えします。全国のアサナナ好きのみんな、こんな僕を許してください。

この作品の感想をお寄せください。
こんにちはです、あくあまりんさん。
す、素敵な話ですってえええええ!? その反応は予想外だった!笑
出来るだけ青春風味にアーサとナナシを描いてみましたが…精進します。
アサナナ好きの同志が増えるのはこれ以上ない幸せです! ありがとうございます!
お言葉に甘えてこれからも稚拙な文を書かせて貰いますね笑
感想本当にありがとうございました。
Name: もげ
PASS
■2009-04-04 00:42
ID : NZOnp0ycUpg
こんにちわです、もげさん。
早速ですが……なんちゅー素敵な話なんだああああっ!!
ナナシちゃんはかわいいしアーサ君はかっこいいしメラドッキュンでございます!!(何
白夜さんと同じくアサナナに目覚めました……!!
これからもよいお話をたくさん作ってくださいv
ではでは、素敵なお話ありがとうございました!
Name: あくあまりん
PASS
■2009-04-02 23:00
ID : .rDWXIUG/mo
うおお、白夜さんから感想をいただけるなんて恐縮です!
私はアルナナも勿論大好物(=節操無し)なので心配は無用です。
いや、アサナナの良さを理解してくださる方がいて嬉しい限り笑
ちなみに私は自重しないでいいって言われると本気で自重しないので注意!何

そのヒキは私に対する挑発と受け取ったので私のとる行動は一つですね笑
拙い文章で失礼いたしました。それでは。
Name: もげ
PASS
■2009-04-02 21:38
ID : SZyLKssw3IM
こちらでは初めましポロリ!絵板の方ではいつも有難うございます(礼)
なんてかわいいナナシ&アサナナなんでショ!アルナナ病過ぎてそれ以外目に入ってなかった私ですが、拝見してアサナナも大いにアリだと思いました!(*・ω・)
素敵なお話に出会えて幸せです♪これからも自重せずに色々書いて頂けたら嬉しいです。

こういうカプなお話が増えるといいなーとこっそり思いながら失礼します…!
Name: 白夜
PASS
■2009-04-02 16:55
ID : Gq92jibgjnw
ぬああ、まさか感想いただけるなんて予想だにしてませんでした。
今日のこの時間ならこんにちはですね! こんにちは!笑

ぶっちゃけると3/の最初部分まで普通に書いて、それ以降は凄い適当にやりました。私ってば照れたりやけっぱちになったりすると途端に文章の質が下がるのです(速度そのものは三倍くらいになります)。
可愛い話…らぶらぶ…そう言っていただけて感謝します。(´∀`*)ウフフ
私は逆にペラペラのしか作れないので、桜崎さんのシリアスな書き方は憧れですー。

P.S
あとがきについて。P.S部分以外は全部思ってることと逆のこと書きました。
エイプリルフールにあやかったものですが、つまるところ自虐ネタです笑
Name: もげ
PASS
■2009-04-02 16:10
ID : SZyLKssw3IM
時間帯的にこんばんわ…かな、桜崎です。

アーサとナナシの二人のラブラブ具合が凄く素敵です。
やっぱりどう考えても私には、こういうかわいいお話を書くのは無理なのでしょう。ディスプレイの前で「いいなー」と呟く私は親にはさぞ不審だっただろうかと。
私には絶対に無理です。そもそも明るいシチュエーション作れませんから。
素敵なアサナナをありがとうございました!

 P.S.
とりあえずもげ殿にお聞きします。
「今日は4月1日ですよね?」と。
本当のことを言っても嘘だと思われることがたまにある私の場合、この日付にはかなり無縁なわけですが。わざわざあとがきに日付を入力されたということは…そういうことですね。
Name: 桜崎紗綾
PASS
■2009-04-01 19:39
ID : lCtEZdNo5rM
おお桜崎さん、桜崎さんではないですか。
お久しぶりです。もしかしたらはじめまして。そしてはじめまして。
二ヶ国語ではじめましての挨拶をするなんて素晴らしいセンスの持ち主だ!笑

受験ですか。私も去年の今頃は(略)結果を待っているのは不安ですよね。
でも桜崎さんならきっと大丈夫であると(略)どうか頑張ってください。

おお、ついに巡り合った同志。アーサいいですよね。
青春ぽいというご感想はそれっぽさを目指していた当方としましては非常に嬉しいものでした。でも微妙に「ヤンデレ名無しさんの大暴走。血で血を洗う愛憎劇の果てに辿り着くものとは? 衝撃! タンスの下敷きになったアーサ!」というギャグなんだかホラー何だか分からないものを書くのも面白そうかな、とかいま思いました。

何を書いても重くなる、というのはマイナスではなくプラスだと思います。
それはつまり文章に重厚感が滲み出ているということですし、ストーリーが深いということも言えると思います。私にはむしろそちらの方が羨ましいです。桜崎さんは自信を持って良いと思いますよ!

同志出現のあまりの嬉しさに長文化してしまったぜ、ふふふ。
ご感想本当にありがとうございました。是非便乗してくださいね! 待ってまーす!
Name: もげ
PASS
■2009-02-14 10:02
ID : T6.uWcS0RmU
どうもどうも、もげ殿。桜崎でございます。
こんにちは、お久しぶりです、もしかしたらはじめまして。

そしてないすとぅみーちゅー!

受験終わって、結果を待たずに「さぁ投稿しよう」と来てみたら…!
うわぁ、まさかのアサナナだー! 私の愛するアサナナではないですか!
一度書いてやろうと思って構想ひねってた間に…くそぅ、先越されたぜぃ(何)嬉しいようなちょっと悔しいような、若干複雑な気持ちですが、もちろん大歓迎でございます。何せアーサ大好きですから。

もげ殿の書かれるアサナナは、明るくていい感じで、なおかつもどかしくて、何を書いてもどうにも重くなりがちな私には羨ましい限りです。いやぁ、ナナシちゃんかわいいなぁ。なんか青春って感じがする。
いや、普通のアサナナはこんな感じなんですよね。ドロドロさせようとしている私の頭がどっかおかしいだけであって(苦笑)

それではこのあたりで失礼します。
私も便乗してアサナナを書いちゃおうかな…なんて思ってたりして。
Name: 桜崎紗綾
PASS
■2009-02-13 19:00
ID : lCtEZdNo5rM
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